通信教育と塾の使い分け

回答

学習スタイルと家庭リソースに合っている方を選ぶ、というのが使い分けの基本です。低学年では自分のペースで進めやすい通信教育が合うケースが多く、学年が上がるにつれて質問が必要になったり中学受験を視野に入れたりすることで塾の優位性が高まります。どちらが優れているかではなく、何を目的に・今どんな状態の子に使うかで判断します。

「通信教育と塾、どちらがいいか」という問いには一般解がありません。子どもの性格・家庭の時間・費用・目的によって答えが変わるからです。この記事では両者の特性を整理し、向き不向きの基準と、目的別の併用パターンを解説します。

① 通信教育と塾の基本的な違い

通信教育の本質的な強みは「自分のペース・自分の場所・自分のタイミング」で学べることです。サービスによっては習熟度に応じて問題が変わるため、得意を伸ばしながら苦手を補強できます。保護者の送迎コストがなく、費用も塾と比べて低い傾向があります。一方、わからないことを即座に質問できる環境がなく、自走できない子は続けにくいという構造的な課題があります。

塾の強みは「対面指導・即時の質問・同学年との競争環境」です。特に中学受験を目指す小4以降では、塾のカリキュラムと集団授業の環境が学習の質を大きく左右します。ただし通塾コスト・費用・保護者の関与負担は通信教育より高くなり、週複数回の送迎が家庭の実態に合わないケースも少なくありません。

② 向き不向きの判断基準

通信教育が向いているのは、一人でも取り組める自律性がある・自分のペースで先取りや補強を進めたい・送迎の時間や費用を抑えたい、という状況です。低学年では特に、決まった曜日に通う習慣より毎日短時間続ける習慣の方が定着しやすいケースが多く、通信教育との相性がよいです。

塾が向いているのは、家では集中しにくい・わからないときに即座に質問したい・先生や友人からの刺激でやる気が出るという子どもの特性がある場合です。また、中学受験に向けた体系的なカリキュラムが必要な小4以降では、塾のサポートが実質的に不可欠になるケースが多くなります。

③ 併用のパターン

両者は排他的な選択ではなく、目的が異なれば併用も有効です。典型的な併用パターンとして、「通信で算数の概念理解・先取りを進め、国語・社会の補強を塾で行う」という科目別の使い分けがあります。また、「低学年は通信で基礎を固め、小3〜4から中学受験塾に移行する」という段階的な切り替えも、費用と効果のバランスが取りやすいパターンです。併用する場合は総学習時間が過負荷にならないよう、優先順位をあらかじめ設計しておくことが重要です。

通信教育と塾の特性比較

比較ポイント 通信教育 学習塾
進度の個別対応 設計次第で高い
(習熟度に対応するものもある)
個別指導塾は高い
集団塾は固定カリキュラム
即時の質問対応 基本的にできない
(解説動画・チューターで補完)
授業中・授業後に可能
保護者の負担 低い
(送迎不要・関与コスト小)
中〜高
(送迎・費用管理・面談)
向いている学年 低学年〜小3
(自走習慣の形成期)
小4以降・中学受験準備期
向いている子の特性 自律的に進められる
先取り・補強を自分ペースでしたい
家では集中しにくい
競争・対話でやる気が出る

統計

学研教育総合研究所「小学生白書(2019年度)」によると、小学生の学習形態のうち通信教育の利用率は31.1%、学習塾は15.2%で、通信教育が塾を大きく上回っています。過去3年間で通信教育は25.1%→25.8%→31.1%と増加傾向、学習塾は21.9%→17.1%→15.2%と減少傾向が続いており、特に低学年での通信教育への移行が進んでいることが示されています。

参照:学研教育総合研究所「小学生白書」

文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」によると、小学生(公立)で「学習塾費」を支出した家庭の年間平均額は約19万3,000円、「通信教育・家庭教師費」を支出した家庭の年間平均額は約5万7,000円で、学習塾費は通信教育・家庭教師費の約3.4倍となっています。支出している家庭に限って比較すると、学習塾の方が年間負担は大きい一方、通信教育・家庭教師費は比較的費用を抑えやすい学習手段として位置づけられます。

参照:文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」

通信教育の教材間での機能・設計・費用の詳細な比較については、RISU教材比較ガイド をご覧ください。

よくある質問

いつから塾に通わせるべきですか?

目的によって異なるため一概に言えません。学校の補習が目的なら、つまずきが生じた時点で検討します。中学受験が目的なら、多くの進学塾が本格的にカリキュラムを開始する小4が一般的な目安です。低学年のうちは通信教育で基礎と習慣を整え、小3〜4から塾に移行するパターンは費用と効果のバランスが取りやすいアプローチのひとつです。

通信教育と塾を併用すべきですか?

目的が明確に分かれている場合は有効です。たとえば算数の先取りを通信教育で、他科目の補習を塾でという分担は理にかなっています。ただし総学習時間が子どもの許容量を超えないよう、学習量の設計が先決です。目的が重複しているなら一方に絞る方がシンプルで続きやすくなります。

塾の方が向いている子はどんなタイプですか?

家では集中しにくい子・先生や友人との対話でやる気が出る子・競争環境でパフォーマンスが上がる子は塾との相性がよいです。「一人でもくもくと進めるより、誰かに説明してもらう方がわかる」「友達と一緒に勉強したい」という傾向が見られる場合も、塾の環境が機能しやすいサインです。

今木智隆
RISU Japan株式会社 代表取締役
今木智隆

京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、デジタルマーケティング専門コンサルティングファームのビービット入社。
 金融・消費財・小売流通領域のサービスに従事し、2012年から同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した幼児から小学生向け算数教材で、のべ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。