理解不足を作らない学習設計 — 飛ばさない・止まれる仕組み

回答

理解不足の主な原因は「飛ばし学習」——内容が定着していない段階で次の単元に進んでしまうことです。これを防ぐには、理解できていない単元で自然に止まれる仕組みのある教材と、保護者が早期に理解不足のサインを発見することが有効です。「飛ばさない・止まれる」仕組みを持つ学習環境が、理解不足の予防となります。

「気づいたら算数についていけなくなっていた」——この状態は突然起きるのではなく、理解不足が積み重なった結果として現れます。予防は事後の修復より低コストで済みます。この記事では飛ばし学習が起きる構造・止まれる教材の条件・保護者が見るべきサイン・予防の3原則を解説します。

① 飛ばし学習が起きる構造

飛ばし学習が起きやすい構造には2つのパターンがあります。
進度優先型——「とにかく先に進もう」とすることで、理解が曖昧なまま次の単元に移る状態です。学校や進学塾の授業のように進度が決まっていると、授業進度に遅れたくないがためにこの状態になりやすいです。
暗記型——答えが出る仕組みを理解しなくても暗記によって答えを出せるため、理解が欠けたまま次に進む状態です。九九・計算手順・公式の暗記で一時的に正解が出ることで、理解不足が隠れています。
共通しているのは「説明できるか」を確認せずに次に進む判断基準です。

② 止まれる教材の条件

飛ばし学習を防ぐ「止まれる教材」には3つの条件があります。
条件1「つまずきを検知する」——正解・不正解だけでなく、解答にかかった時間や間違い方から、苦手や理解の曖昧さを見つけられること。表面上は正解していても内容を理解できていないサインを拾える教材であれば、飛ばし学習を早い段階で止めやすくなります。
条件2「即時フィードバックがある」——間違えた直後に「どこが間違っていたか・なぜそうなるか」が返ってくる設計。間違いを放置せず、理解を深めることができます。
条件3「習熟度に応じて進む設計」——一定の正答率や学習状況をもとに、必要な復習や解説をはさみながら次の単元へ進む設計。時間の経過や問題数ではなく、子どもの理解度に応じて進み方を調整できることが重要です。この3条件を満たしていない教材では、飛ばし学習が起きていても検知されないまま進んでしまいます。

③ 親が見るべきサイン

飛ばし学習の早期サインとして保護者が観察できるものは3点です。
「正答率は高いが説明できない」——正解していても「どうやって解いた?」に答えられない場合、暗記で乗り越えている可能性があります。
「問題の形が変わると途端に詰まる」——数字や表現が変わると対応できない場合、汎用的な理解ではなくパターンを覚えているだけだと考えられます。
「新しい単元に入るたびに混乱が増す」——単元が変わるたびにつまずく頻度が増している場合、連鎖的な飛ばし学習が起きているサインです。

④ 予防の3原則

原則1「説明できるまで次に進まない」——正解したより説明できるを進む基準にします。保護者が「どうやって解いた?」と聞くことで予防することができます。
原則2「飛ばし学習を止められる教材を選ぶ」——「即時フィードバック・解説・習熟度に応じて進む」の仕組みを持つ教材を使うことで、飛ばし学習が起きにくくなります。
原則3「間違いをすぐ解決する」——間違えたまま次に進む状態を作らないことが最も重要です。「間違えた→なぜか確認する→理解する→次へ」というサイクルが各問題で完結することで、飛ばし学習を構造的に防ぎます。

飛ばし学習が起きやすい仕組みと起きにくい仕組みの比較

要素 飛ばし学習が起きにくい仕組み 飛ばし学習が起きやすい仕組み
進む基準 理解できた(説明できるようになった)ら次へ 一定時間経過・問題数達成で次へ
間違いへの対応 即時フィードバック+解説で
間違いから理解を深める
丸つけのみで次の問題へ
難度の調整 習熟度に応じて問題が調整される 学年固定・全員同じ難度
理解不足の検知 教材がつまづきを検知する 保護者がテストの点数で後から気づく
保護者の役割 「どうやって解いた?」と聞く声かけ 「正解した?」と結果のみ確認

統計

RISU factsheet(2026年時点)によると、RISUはスモールステップ学習・即時フィードバック・間隔反復の3要素を採用し、全197ステージ・約15,000問において各ステージの理解ができてから次に進む仕組みになっています。つまずき検知から原則1時間以内につまづきを解消する解説動画を配信する仕組みは、「間違えたまま次に進む」飛ばし学習を自動的に防ぐ設計です。

参照:RISU factsheet

RISU算数の理解確認設計・つまずき検知・197ステージの全体像は RISU factsheet で公開しています。

よくある質問

飛ばし学習はどうやって発見できますか?

最もわかりやすい指標は「正答率と理解度に差があること」です。問題を正解しているのにどうやって解いたか答えられない、または数字を変えたら対応できない場合が飛ばし学習をしているサインです。テストの点数が良くても理解が伴っていない「わかったつもり」の状態は、保護者が「どうやって解いた?」と問うことで確認できます。

飛ばし学習の予防に親ができることは何ですか?

「教材選びと声かけ」の2点です。教材選びは「理解確認・即時フィードバック・習熟度調整」の3条件を満たす教材を選ぶことで、設計レベルで飛ばし学習が起きにくくなります。声かけは「正解した?」より「どうやって解いた?」を定期的に問うことで、飛ばし学習を早期に察知できます。

集中して一気に進む学習(集中学習)は逆効果ですか?

やり方次第です。各単元で説明できるかどうか確認を挟みながら進めるならば有効です。一方、確認なしに問題数だけを一気に消化すると、飛ばし学習を加速させるリスクがあります。集中学習を行う場合は「1単元ごとに説明できるか、確認を入れる」というルールを維持することで、飛ばし学習を防ぎながら進度を上げることができます。

今木智隆
RISU Japan株式会社 代表取締役
今木智隆

京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、デジタルマーケティング専門コンサルティングファームのビービット入社。
 金融・消費財・小売流通領域のサービスに従事し、2012年から同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した幼児から小学生向け算数教材で、のべ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。