ケガより大切なことを育てる「格闘技」が子どもに与える心と体の成長とは?
									今回のRISU Insightでは、「強さとは何か?」「礼儀や自信はどう育まれるのか?」というテーマのもと、子どもの心と体の成長に迫ります。
対談ゲストは、現役プロキックボクサーでチャンピオンの経験もあり、子どもたちへの指導も行っている 大谷翔司(おおたに・しょうじ)選手。
格闘技というと「ケガが心配」「こわいスポーツ」というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、大谷選手の語る「格闘技が育てる力」は、そのイメージを覆すものでした。
礼儀、挑戦心、自信。自身の歩みや、現場での子どもたちとの関わりを通して、「強さの本質」を探ります。

■ 大谷翔司(おおたに・しょうじ)選手 プロフィール
- 出身地:愛媛県北宇和郡
 - 格闘技歴:元・陸上自衛隊 徒手格闘訓練隊員
 - プロ戦績:通算 39戦25勝(16KO)11敗3分
 - 得意技:ナパーム・ストレート
獲得タイトル:
第3代 KNOCK OUT-BLACK ライト級王者
第6代 INNOVATION ライト級王者 
大谷選手が所属する『KNOCK OUTクロスポイント渋谷』
安全第一!それが「強さ」を育てる土台になる
「格闘技って、やっぱりケガが心配」という保護者の声が多そうな印象がありますが、プロとして活躍、さらに習い事としてのジムでも指導されている大谷選手にケガについての視点で聞いてみました。
安全面に配慮した指導をしているジムを選ぶことが大前提です。
たしかに、格闘技は本質的には、戦うスポーツ。でもだからこそ、安全管理がとても重視されています。
プロの現場でも、子ども向けの道場や教室でも、必ず「ケガをしないための仕組み」があります。マットやミット、ラダーを使用したステップ運動など、身体づくりや運動能力向上をメインにしたメニューから始められることが多く、未経験の子でも安心です。
また、格闘技が育むのは筋力や瞬発力だけではありません。
「攻撃していいのはルールがある場所だけ」という明確な区別を理解することで、自己制御力や集中力、他者への思いやりなども自然と身につくとのことです。
負ける経験こそが、子どもの「挑戦力」を育てる
近年の教育では、「勝ち負けをつけない」「競争を避ける」方針も多く見られます。
「しっかり管理された環境での勝ち負けには、大きな学びがある」といった点でうかがっていきましょう。
本気で努力する力を育てる「悔しさの経験」や「自分より強い相手と向き合う経験」は大切ですね。
試合は、自分の課題が一番見える場所。自分に足りないもの、練習してきたことの成果、それが一気に出るばなんですね。
勝ち負けを体験することで、子どもは「次こそは」「もう少し頑張ってみよう」と自分から考えるようになります。
それは、他人と競い合うというよりも、自分自身と向き合い、更新していく姿勢。
だからこそ、格闘技を通じた「負けの経験」は、学びの原点に通じるものがあるのです。
ゴールは通過点「次を目指す心」が育つ
「子どもが本気で努力を続けるためには、どんな環境や経験が必要なのでしょうか?」
勝った瞬間の達成感はもちろん大切ですが、それで満足してしまうと成長は止まってしまいます。
格闘技の世界のように、常に次の挑戦が待っている環境だからこそ、子どもたちは「次を目指す心」を育てることができるのです。
格闘技では結果に満足せず、「次を目指し続ける心」を育てる力があります。
格闘技では「勝っても、すぐにまた強い相手が現れる」ことが当たり前。
ベルトをとっても、挑戦者やまたその上がいるのが格闘技の世界です。その経験が、「満足せずにチャレンジする力」や「努力を続けるメンタル」を育てるのです。
勝ち負けのある世界でこそ、「本気で努力する力」や「折れないメンタル」が育ちます。 小さな「わかった」「できた」から、次のステップへ。
子どもが自ら学びを深めていくためには、どのようにしたら勝てるのか、次の相手との攻略はどうするのかなど、「次を目指す心」が大切なのです。
心と体をバランスよく鍛える「全身スポーツ」
格闘技というと、「体幹が鍛えられて強くなるスポーツ」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。実際のところ、子どもや初心者にとっても続けやすいスポーツなのでしょうか?
格闘技は、心も含めた「身体のバランス」を整え、運動能力や集中力の土台づくりにもつながる全身スポーツです。
また、格闘技のもう一つの特長が「遊び感覚で取り組めるプログラム構成」にあります。
たとえば、当ジムでは、ミット打ちやシャドー、ステップ練習といったテンポのある運動で子どもを飽きさせない工夫をしています。走ったり、ジャンプしたり、体操のような要素を取り入れ、キックボクシングに限らず、さまざまな動きを取り入れて「楽しみながら体を動かす」ことを大切にしています。
実際、大人の間でも「運動不足解消」や「ストレス発散」としてジムに通う女性が増えており、全身運動ならではの消費カロリーの高さも人気の理由の一つです。
つまり、格闘技は強くなるためのスポーツであると同時に、自分の体と心をうまく使う、コントロールできるようにするためのスポーツでもあります。
運動が得意でないお子さんにとっても、体の軸を意識しながら遊ぶように動ける格闘技は、楽しさと効果のバランスがとれた習い事の一つになると考えています。
礼儀・挑戦心・自信。「強くなる」ことは、人としての土台を築くこと
格闘技を習うお子さんの中には、「強くなりたい」「かっこよくなりたい」という気持ちからスタートする方も多いと思います。
格闘技を通して、どのような心の成長が生まれているのか聞いていきましょう。
礼儀・挑戦心・継続力・自信。
格闘技で育つこれらの力は、すべて「人としての土台」です。
格闘技の世界では、まず「あいさつ」から始まります。先生に、仲間に、対戦相手に、しっかりと頭を下げる。礼を尽くすことは、自己を律し、他者を尊重することの第一歩です。こうした礼儀や姿勢は、日常生活にも自然と現れ、他者との関係性を築く力にもつながっていきます。
また、試合の場面で子どもたちは「怖さ」と向き合います。「勝てるかな?」「痛い思いをするかもしれない」、そんな不安を抱えながらも、一歩前に出る経験を重ねることで、「勇気」が芽生えていくのです。
その過程で必要なのが「継続する力」。
技術や体力は、一夜にして身につくものではありません。コツコツと練習を積み重ね、できなかった技が少しずつ形になっていく。その成功体験は、自己肯定感の土台となり、「自分にはできる」という自信へと変わっていきます。
格闘技は、心身をバランスよく鍛えるスポーツだと思います。
「強さ」とは単に勝つ力ではなく、「自分と向き合う力」や「挑み続ける力」そのものなのです。
それは、学びの現場でも同じです。どんなに小さな一歩でも、前に進もうとする姿勢こそが、未来を切り拓く力になります。
最後に
格闘技=ケガというイメージを持っていた方も多いかもしれません。
しかし実際は、安全性に配慮された環境のなかで、子どもたちは心身ともにで大きく成長していけることが理解できました。
子育ても、学びも、土台となるのは「心を支える環境」。
今回の対談を通じて、大谷選手の言葉からは、まさに「本当の強さ」とは何かを教えていただいた気がします。このような考え方は、RISUの学びの本質とも重なります。ただ学力を高めるだけでなく「自分で考え、挑み、やり遂げる力」を育むこと。
RISUは、そんな子どもたちの「土台づくり」を、これからも応援していきます。

			
			
			









			
				
						
									
									
									
						
