「勉強好きな子」は才能ではない!家庭で育てる関わり方を専門家に聞く
- 「うちの子は勉強が嫌いだから…」
- 「勉強が楽しい!」と思える子は、学ぶことが生活の一部になっている
- 勉強好きは「才能」ではなく、日々の「経験」で育まれる
- 「勉強は楽しい」というイメージが、子どもの行動を変える
- 「子どものため」が逆効果になることもある
- 結果よりも、「子ども自身が考える時間」を大切にする
- 親は「教える人」ではなく、「勉強が楽しくなる演出家」
- 算数好きな子は、「考えること」を楽しんでいる
- 算数好きに必要なのは、「センス」よりも前向きなイメージ
- 先取り学習は、「理解を深める」ための手段
- 幸せな中学受験を実現する、3つの特徴
- ゲームを禁止するより、「付き合い方」を考えることが大切
- 「うちの子は勉強が苦手」と決めつけないことが、子どもの可能性を広げる
- まとめ|子どもをよく見て、「あれ?」と思ったらすぐ行動する
「うちの子は勉強が嫌いだから…」
そんな悩みを抱える保護者は少なくありません。
しかし、学習塾を運営し、多くの子どもたちを見てきた永島先生は、「勉強が好きか嫌いかは、生まれ持った才能ではなく、日々の経験で変わる」と話します。

今回は、『東大でとことん教育を学んでわかった! 勉強にハマる子の育て方』の著者であり、学習塾・学童保育を運営する永島先生に、勉強が好きになる子どもの特徴や、家庭で今日から実践できる関わり方について伺いました。

「勉強が楽しい!」と思える子は、学ぶことが生活の一部になっている
「勉強にハマる子」とは、どのようなお子さんか教えていただきたいです。
勉強が好きな子どもには次のような共通点があります。
- 分からないことを嫌がらない
- 成果よりも過程を楽しめる
- 勉強を通して自分の成長を感じることができる
こうした子どもたちは、「勉強する時間」と「普段の生活」が切り離されていません。
「勉強」と「生活や遊び」が地続きになっています。分からないことがあれば調べ、興味を持ったことをもっと知りたくなる。「学ぶこと」が自然と生活や遊びの一部になっているのです。
一方で、「勉強にハマれない子」は、「勉強=苦しいもの」というイメージを持っています。
その要因の一つが、「できなかった経験」の積み重ねです。
勉強は点数や順位など、結果で評価される機会が多いため、本来の学ぶ楽しさよりも、「評価されること」が目的になりやすい側面があります。
その結果、「勉強そのもの」が苦しいというイメージにつながってしまいます。
勉強好きは「才能」ではなく、日々の「経験」で育まれる
「勉強にハマる子」と「勉強を嫌がる子」の違いはどこにあるのでしょうか。
「できた」「分かった」「楽しかった」。
こうした成功体験を重ねることで、「勉強は面白い」という前向きなイメージが育ちます。
一方で、「分からない」「できない」という経験が続いたり、子どもの力に合わない課題や長すぎる学習時間が続いたりすると、「勉強=苦しいもの」という印象につながってしまいます。
勉強を通してどのような経験をしてきたかなど、その経験の差が、「勉強にハマる子」と「勉強を嫌がる子」の差になって表れます。
だからこそ大切なのは、その子に合った課題で「できた」という経験を積み重ねることです。
例えばRISU算数のように、学年ではなく、一人ひとりの理解度に合わせて学べる教材は、成功体験を積みやすく、「もっとやってみたい」という気持ちにつながりやすいでしょう。
「勉強は楽しい」というイメージが、子どもの行動を変える
「勉強へのイメージ」を変えるという点で、保護者が実際にできる関わり方を教えてください。
ここでいう「イメージ」とは、子どもが「勉強」と聞いたときに自然と思い浮かべる印象のことです。
「楽しそう」「やってみたい」と思えれば自然と行動につながりますが、「苦手」「どうせできない」という印象を持つと、勉強から距離を置きやすくなります。
だからこそ、知識を増やす前に、「勉強って悪くない」「またやってみたい」と思えるイメージを育てることが大切です。
そのために保護者ができるのは、難しいことではありません。
笑顔で話しかけること、できたことを一緒に喜ぶこと。
家庭のあたたかい雰囲気や日々の小さな関わりが、勉強への前向きな印象を少しずつ育てていきます。
「子どものため」が逆効果になることもある
保護者が無意識にしてしまいがちな、勉強嫌いにつながる関わり方はありますか。
一方で、保護者が良かれと思ってしている関わりが、かえって勉強嫌いにつながってしまうこともあります。
特に注意したいのが、「あなたのため」「子どものため」という言葉です。
この言葉を盾にして、
- 「勉強しなさい」と命令する
- 点数や順位ばかり気にする
- 失敗しないよう先回りする
- ご褒美で行動をコントロールする
- 他の子と比較したり、人格を否定したりする
といった関わりをついついしてしまうことがあります。
しかし、本来子どもは、失敗や試行錯誤を繰り返しながら、自分で学ぶ力を身につけていくものです。
「あなたのため」「子どものため」と思うときこそ、一度立ち止まりましょう。
「あなたのため」「子どもため」というこの6文字を盾にしていないか。
「本当にこの関わりが成長につながるだろうか」と考えてみることが大切です。
結果よりも、「子ども自身が考える時間」を大切にする
子どものテストの点数が悪いとき、ついできないところに目を向けたり、求められていないアドバイスをしたりしてしまいがちです。
しかし、この関わり方が、子どもの学ぶ意欲を奪ってしまうことがあります。
子どものテスト結果を見たときに、前向きな声かけができないのであれば、「テストについて何も言わない」という選択があります。「そうだったんだね」と結果を受け止めるだけでも十分です。
すぐにアドバイスや改善策を与えるのではなく、子ども自身が「次はどうしよう」と考える時間を待つことが、主体的に学ぶ力につながっていきます。
「何も言わない」「ただ受け止める」という選択肢を大切にしてほしいです。
親は「教える人」ではなく、「勉強が楽しくなる演出家」
書籍でご紹介いただいた3つのポイントについて詳しく教えてください。
子どもが勉強に夢中になるためには、以下の3つがポイントです。
- 遊びと勉強の境界線をなくす
- 熱中できる環境を整える
- 親も一緒に勉強を盛り上げる
それぞれのポイントについて詳しくお伝えします。
①遊びと勉強の境界線をなくす
「遊びと勉強の境界線をなくす」とは、遊びの延長として勉強を体験できる状態をつくることです。
子どもの好きなことを入り口にしたり、クイズやゲーム感覚で学んだりすることで、
「もっと知りたい」「もっとやりたい」という気持ちが自然と育ちます。
ゲームやYouTubeなど、子どもの時間をたくさん奪ってしまうものはできるだけ遠ざけて、
環境の工夫をすることも大切です。
そして、勉強をきっかけに親子げんかをしないようにしましょう。
そのために、親は「学習中の指摘は1日1回まで」など、自分なりの見守りルールを決めて関わるとよいでしょう。
もちろん、「遊びと勉強の境界線をなくす」とは、子どもに楽をさせるという意味ではありません。
遊びと勉強を地続きのものにして、自分から学びたくなる環境を整えることが目的です。
②熱中できる環境を整える
子どものやる気は意志の強さだけではなく「環境」に大きく左右されます。
例えば、
- 勉強机をリビングの一等地に置く
- 生活リズムを整える
- 「まずは1ページだけ」「1分だけ」と小さな目標から始める
- ゲームやYouTubeなどのデジタル機器を使う時間について、親子で話し合い、適切に管理する
など、「勉強を始めやすい環境」「続けやすい環境」を整えることが大切です。
③親も一緒に勉強を盛り上げる
家庭学習では、親が勉強を教えようと頑張りすぎてしまうことがあります。
親は先生ではなく、勉強を楽しくする演出家になってほしいです。
例えば、
- クイズ形式にしてみる
- ストップウォッチを使ってタイムアタックに挑戦する
- いつもと違う場所で勉強してみる
など、少し工夫するだけでも、勉強の印象は大きく変わります。
特別な教材は必要ありません。「今日はどうしたら楽しめるかな」という視点で関わるだけでも、勉強への印象は大きく変わります。
ここまで、「子どもが勉強に夢中になるポイント」を3つ紹介してきましたが、大切なのは、最初からすべてを実践しようとしないこと。
「今日は一つだけ試してみよう」という気持ちで始めるだけでも十分です。
保護者が少し視点を変え、「どう教えるか」ではなく「どうすれば楽しめるか」を考えること。その積み重ねが、「勉強って意外と面白い」という子どもの気持ちを育てていきます。
算数好きな子は、「考えること」を楽しんでいる
(ここまで勉強に関するか変わり方についてうかがってきましたが)
次は、算数が好きな子に共通する特徴を教えてください。
算数が好きな子は、考えることそのものを楽しめる子です。
例えば、
- 正解を急がず、考える時間を楽しめる
- 間違いを恐れず、試行錯誤することに慣れている
- 「どうしてこうなるんだろう」と考えることが好き
こうした子どもは、「答えを当てること」よりも、「考える過程」そのものを楽しんでいます。
日常生活が、算数の土台になる
算数は机の上だけで学ぶものではありません。
例えば、
- 時計を見て時間を計算する
- ケーキを分けながら分数を考える
- 買い物で割引や単位を話題にする
など、日常には算数につながる場面がたくさんあります。
幼児期であれば、「数字を読むこと」よりも、「1つ増えたら2つになる」「前から3番目」といった数の意味を実感することが、算数の土台づくりにつながります。
また、図形や量の感覚を、生活や遊びの中で体験することも大切です。
算数好きに必要なのは、「センス」よりも前向きなイメージ
では、「算数が得意になるにはセンスが必要では」と考える保護者も多いですが、実際はいかがでしょうか。
「センス」以上に大切なのは、「算数についてどのようなイメージを持っているか」です。
「面白そう」「また考えてみたい」と思える子どもは、自分から学び続けようとします。
反対に、「苦手」「どうせできない」と感じると、算数から距離を置きやすくなります。
さらに大切なのが、「自分ならできるようになる」という自己効力感です。
算数学習の中で、子どもの自己効力感を育てることを目標にしていきましょう。
自己効力感があると、「この問題を、もう少し考えてみよう」「もう一問、挑戦してみよう」という前向きな学習につながります。
保護者は結果だけを見るのではなく、「できそう」「やってみたい」と思える関わりを意識し、算数に対して前向きなイメージを持たせることが大切です。
先取り学習は、「理解を深める」ための手段
RISU算数は先取りができますが、先取り学習についてはどのようにお考えですか。

先取り学習そのものに賛成・反対という考えはありません。
大切なのは、その子にとって必要なタイミングで学べているかどうかです。
先取りによって学校の授業が理解しやすくなり、「分かった」「授業が楽しい」という成功体験につながるなら、大きなメリットがあります。
一方で、「先に進むこと」自体が目的になってしまうことには注意が必要です。
算数では、分からないことに向き合い、試行錯誤する経験も大切な学びだからです。
「どこまで進んだか」ではなく、「理解しながら学べているか」。
その視点を持つことが、長く学び続ける力につながります。先取り学習はゴールではなく、その子に合った学び方を実現するための一つの手段なのです。
幸せな中学受験を実現する、3つの特徴
中学受験を検討・準備する際、保護者はどのようなことを意識すればよいのでしょうか。
中学受験専門塾で多くの親子を見てきた経験から、「幸せな中学受験の軸」を大切にしてほしいと思っています。
ここでは、受験を通して親子ともに充実した時間を過ごしてきたご家庭に共通する、3つの特徴をご紹介します。
一つ目は、結果にかかわらず、「挑戦してよかった」と思える経験にすることです。
たとえ第一志望に届かなかったとしても、「最後までやり切れた」という経験は、その後の人生の大きな財産になります。
二つ目は、親子でともに成長できること。
受験を通して、保護者自身も子どもとの関わり方や教育観を見直すことが、親子の成長につながります。
三つ目は、中学校入学後も「学びたい」という意欲が残っていることです。
受験で燃え尽きるのではなく、「もっと学びたい」と思える状態で次のステージへ進むことが何より大切です。
そのために、子どもの勉強に干渉しすぎず、笑顔で伴走する姿勢を意識してほしいと考えています。
家庭の中で「どこまで声をかけるか」「どんな時は見守るか」といったルールを、親子であらかじめ話し合っておくこともおすすめです。
干渉しすぎず、必要な時にそっと伴走すること。
それが、子どもに過度なプレッシャーを与えず、自分の力で挑戦する力を育てることにつながっていきます。
次は、保護者の方からのご相談が多い、ゲームに関してうかがいます。
ゲームを禁止するより、「付き合い方」を考えることが大切
ゲームや動画が好きな子でも、勉強に夢中になることはできるのでしょうか。
ゲームには、試行錯誤したり、戦略的に考える力を育てるという側面があります。
一方で、長時間遊ぶことで、読書や運動、家族との会話など、本来経験できる時間を失ってしまう「機会損失」があることも忘れてはいけません。
学校でもゲームのことばかり考えてしまうような状態であれば、ゲームとの付き合い方を見直す必要があります。プレイ時間やオンラインゲームのルールを親子で話し合い、「ゲーム機は保護者が貸しているもの」という考え方を共有することも大切です。
ゲームをなくすことが目的ではありません。
発達段階や依存度に合わせてルールを決め、勉強とゲームを上手に両立できる環境をつくることが重要です。
「うちの子は勉強が苦手」と決めつけないことが、子どもの可能性を広げる
「うちの子は勉強が嫌いだから……」と悩んでいる保護者の方へ、メッセージをお願いします。
子どもの気持ちは、その日の体調や機嫌、そして保護者の関わり方によって変わります。
だからこそ、「うちの子は勉強が苦手」と決めつけないことが大切です。
算数のセンスには個人差がありますが、それ以上に重要なのは、「勉強って面白い」「またやってみたい」と思えるイメージを育てること。そのイメージは、日々の声かけや課題の出し方で変えていくことができます。
また、テストの点数だけで将来を悲観する必要はありません。
「どうすればこの子が楽しく学べるだろう」。
そんな視点で子どもと向き合うことが、可能性を広げる第一歩になります。
まとめ|子どもをよく見て、「あれ?」と思ったらすぐ行動する
最後に、子どもが自ら学ぶ力を育てるために、最も大切なことを教えてください。
まずは子どもを「じっくり観察してほしい」です。
勉強中の様子だけでなく、何を楽しみ、どんな時に笑顔になるのかを知ることで、その子に合った関わり方が見えてきます。
そして、「あれ?何か違うな」「勉強を楽しめていないな」「苦しそうにやっている」と感じたら、そのまま放置せず、「すぐ行動」すること。
「すぐ行動」とは、学習内容や学習量を、今日からすぐに修正することです。
使っている教材や勉強時間を見直したり、必要であれば「お母さん(お父さん)の、今までの関わり方が良くなかったね」と素直に謝ったりすることも大切です。
親子だけで解決するのが難しいと感じたときは、一人で抱え込まず、学校やスクールカウンセラー、専門家に相談することも選択肢の一つです。
子どもは日々成長しています。
だからこそ保護者も、「観察する」「気づいたらすぐ修正する」という姿勢を大切にしながら、その子に合った学び方を一緒に見つけていってほしいと思います。

■永島瑠美
ナガシマ教育研究所代表、中学受験ラボ代表
ープロフィールー
永島瑠美(ながしま・るみ)
ナガシマ教育研究所代表、中学受験ラボ代表、一般社団法人勉強法アドバイザー機構代表理事。東京大学教育学部卒、教育学修士。教育学を専門に学び、現在は学習塾・学童保育、発達支援教室を運営しながら、教育学の研究と実践の両面から子どもの学びを支援している。
これまでに1,000人以上の子どもの指導、延べ2,000人以上の保護者から教育相談を受ける。4児の母。
著書に『東大でとことん教育を学んでわかった!勉強にハマる子の育て方大全』(青春出版社)。
永島瑠美 公式サイト https://nagashimarumi.jp/




