復習が嫌いで困っています。どうしたら子ども達が復習するようになりますか?
脳の成長は5歳までに8割程度完了すると言われており、脳の発達に合わせて記憶力が日に日に向上しているため、そう感じるのだそうです。
また、幼児期は脳内の情報伝達において重要な役割を持つ神経伝達物質であるドーパミンが出やすい時期で、思考や集中力にも関係すると言われています。
しかし小学生になり勉強量が増えてくると、多くの事柄を覚えなければならなくなり、さすがに一回学習しただけでは覚えられないことが増えてきます。
そこで今回は、効果的だと言われている5つの復習ポイントについて、具体的に解説していきます。
◆効果的だと言われている5つの復習ポイントとは
学ぶことにおいて復習が大切だということは、大人である親御さんは体験上痛いほどわかっているわけですよね。
でも子ども達は思い通りにやってくれません。
「できる問題」を解くことは楽しいですから、子どもの自主性に任せていては、そちらのほうばかりに目がいってしまいます。
当然、わからないことを復習しようなんて気持ちにはならないのです。
しかし、実際に復習して今まで出来なかったことが出来るようになると、「やればできる」という実感が自信とモチベーションアップにつながります。
自己肯定感を育てるためにも、周囲が復習をサポートしてあげなければならないのです。
そこでここでは、サポートするための具体的な5つのポイントについて説明いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。
◎ポイント①つまづいているところを見つける
子ども達が勉強する原動力は知的好奇心です。
今まで知らなかった新しい物事の知識について、理解したい、もっと知りたいという気持ちは自主的に学ぶ行動につながります。
しかし、復習は既に学んだことであり、子ども達はわかっていると思い込んでいます。
従って、どうして復習しなければならないのかがわかっていません。
答え合わせをする際に、どうして間違ったのかを考えさせて、つまづいたところを見つけることで学び直しの必要性を感じてもらうようにしましょう。
既に知っていることを学ぶのではなく、曖昧になっていたところを学び直すという意識の変換は、案外有効に働くものです。
◎ポイント②忘却曲線に沿って復習をする
ドイツの心理学者エビングハウスが行った実験(エビングハウスの忘却曲線)によりますと、人が新しいことを記憶した際、1時間後には約50%、1日後には約70%を忘れてしまい、1ヶ月後にはほとんど記憶に残っていないそうです。
記憶を定着させるためには、学習してから2日目に10分、7日目に5分、学習から30日目に2〜4分」の復習を行なう必要があります。
参考サイト:“ほぼ無意味” な復習をしていませんか? 学習内容をすべて記憶する「正しい復習方法」
いくら成長期にある子ども達だといっても、人間である以上、忘れてしまうことは避けられないということは、覚えておいてください。
◎ポイント③苦手科目の復習はスモールステップで復習する
苦手科目は試験で点数が取れなかったり、内容を理解できなかったりするので楽しくありませんから、なかなか頑張ろうという気持ちになれません。
そんな時は、「やればできる」という達成感を子ども達に与えながら、一歩一歩次の課題にチャレンジしていく、スモールステップという考え方を取り入れてみてはいかがでしょうか。
「頑張ったのに試験で良い点が取れなかった」という体験を繰り返してしまっては、ますます復習したくなくなってしまいます。
「やればできる」という体験を繰り返し繰り返し行っていくことで、自信が生まれてモチベーションが高まっていきます。
いきなり偏差値をあげることを目標にするのではなく、今週は地図記号を覚えようといった小さな目標を設定し、親御さんも一緒に問題を出し合ってみるなどのチャレンジをしてみてください。
◎ポイント④テストなどで復習した知識を実際に使ってみる
認知心理学者でワシントン大学教授ヘンリー・ロディガー氏と、パデュー大学教授ジェフリー・カーピキ氏が行なった研究によりますと、記憶するためにひたすら読んで覚えているよりも、覚えた内容を紙に書き出すという工程を取り入れたほうが成績が良かったという結果が出ています。
従って、復習した知識を思い出すという工程を取り入れることは非常に大切なことになるのですが、最も簡単な方法がテストを行うことです。
復習したことを覚えていれば、成果として出ますので当然嬉しい気持ちになり、次も復習しようと思うようになります。
もし忘れてしまっていても、もう一度覚えなければならない箇所がわかりますので、学数効果をあげるという意味では効果的です。
間違った箇所をまとめた小テストなどを作っていただき、次の日などに確認するといったスモールステップの技法も組み合わせてみると、さらに効果的に学習できるようになります。
◎ポイント⑤できるようになったことを褒めてあげてモチベーションを維持する
子どもでなくても人から褒められれば嬉しいものです。
褒めるためにはその人を観察していないと出来ません。
結果だけでなく、褒められることにつながった行動が認められたとき、承認欲求が満たされます。
「また褒められたい、だからもっと頑張ろう」という強い気持ちが芽生えてくるわけですね。
従って、子どもを褒めるときには、できるだけ具体的な行為に対して言葉をかけるようにしましょう。
例えば、テストの結果が良かったのであれば、「偏差値が5もあがって凄いね」という褒め方よりも「毎日欠かさずミニテストの復習を頑張ったよね」「毎日早く塾に行って自習を頑張った成果が出たね」といった、具体的な要因を挙げながら褒めてあげましょう。
◆まとめ
人は自分の命を守るため、生命の危機に関わる情報や、生命の維持に必要な情報はは、本能的に長期記憶として貯蔵されます。
例えば、高いところから飛び降りたら怪我をすることや、あの場所に行けば果物がなっているといったような情報です。
そしてその情報は、必要な場面に陥った際には、瞬時に引き出せるように格納されて自由自在に活用できるようになります。
生物としての本能的な性質である長期記憶を応用したのが復習です。
何度も同じことを記憶したり、学ぶことで、この情報は命を守るためには忘れてはいけない大事な情報であると脳をだましているわけですね。
子ども達は親御さんが思っているよりもずっと早いスピードで成長するものです。
子ども達自身が復習の重要性について納得することができれば、積極的にチャレンジすることができるようになるはずです。
復習の本質とメカニズムをしっかりと理解して、サポートできるように心がけていきましょう。