伊藤博文をはじめ、渋沢栄一や岩崎彌之助らが創立に関わった女子教育奨励会によって設立され、国際社会で活躍する女性の育成を目指してきました。
日本の伝統を大切にしながら、現代社会にマッチした開かれた校風や国際的な視野を広げる教育は、多くの保護者に支持されており、倍率はおよそ7倍と、かなりの人気校となっています。
本記事では、東京女学館小学校の倍率や人気の背景にある教育内容や学校の特色を解説します。
受験を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
東京女学館小学校AO入試・一般入試の倍率
東京女学館小学校の倍率は、およそ7倍です。
近年、倍率は上昇傾向にあります。ここでは、募集人数と志願者数の推移を確認しましょう。
| 試験実施年 | 募集人数 | 志願者数 | 志願者倍率 |
| 2025年 | 72人 | 544人 | 7.5倍 |
| 2024年 | 72人 | 490人 | 6.8倍 |
| 2023年 | 80人 | 424人 | 5.3倍 |
このように、2023年には5倍程度であった倍率が、2025年には7.5倍と、わずか数年で大きく上昇していることが分かります。
ただし、この倍率はAO入試と一般入試を合わせた数値です。東京女学館小学校の入学試験には、AO入試と一般入試があり、それぞれ倍率が異なります。
募集人数35人のAO入試は2〜3倍で推移しているのに対し、一般入試は10〜14倍と、より高い倍率になっています。
一般入試では、入学辞退者を見込んで募集人数より多くの合格者を出す場合があります。
また、合格発表後に補欠合格者が繰り上がるケースもあるため、出願者数を合格者数で割った倍率だけでは、実際の競争率を判断できません。
しかし、こうした点を考慮した実質倍率で見ても、一般入試は7〜10倍程度と高い水準です。
倍率が上昇している理由
東京女学館小学校の倍率が上昇している背景には、募集人数の減少と志願者数の増加があります。
2024年度入試から、それまで80人だった募集人数が72人に減少し、1割減となりました。
一方で、志願者数は増加傾向にあります。その背景として、出願のしやすさや学校の柔軟な姿勢に人気が集まっていると考えられます。
- AO入試と一般入試の併願が可能
- 他校と併願しやすい一般入試の日程
- アフタースクールの開設
都内の私立小学校は11月1日に入試日が集中しやすい中、東京女学館小学校の一般入試は11月2・3日です。そのため、11月1日に入試を行う学校との併願がしやすい点も、志願者を集める理由の一つと考えられます。
また、東京女学館小学校では2025年から、さまざまな体験プログラムを取り入れたアフタースクールを開設しています。
伝統を大切にしながらも、子どもを軸に時代や家庭のニーズに合わせて教育環境を変化させている点も、受験家庭から支持される理由の一つといえるでしょう。
東京女学館小学校の試験内容
倍率が高い東京女学館小学校ですが、試験では必ずしも難度の高い問題が出題されるわけではありません。
ここでは、AO入試、一般入試の試験内容を解説します。
AO入試の試験内容とポイント
AO入試では、保護者と紹介者(親族以外)による2通の推薦書が必要です。
ここでいう紹介者とは、推薦書を記入する人物を指します。紹介者選びは推薦書の内容にも関わるため、AO入試を受けるうえで重要なポイントの一つです。
紹介者には、幼児教室や保育園・幼稚園の先生など、子どものことをよく知る人物や、小さい頃から愛情を持って接してくれている人物に依頼するとよいでしょう。
また、入試日には以下の試験が実施されます。
- 体操
- 母子行動観察
- 口頭試問
- ペーパー試験
- 面接(20~30分)
AO入試は、これまでノンペーパーの傾向が続いていましたが、近年では常識問題などのペーパー試験も出題される傾向です。
また、受験生への口頭試問や比較的長時間にわたる両親面接では、推薦書の内容をもとに質問されるケースも多くあります。
そのため、推薦書の内容は家族でしっかりと読み込み、想定される質問への回答をしっかりと考えておきましょう。
選考では、学校の教育方針と家庭の考え方との相性に加え、親子の関係性や、子どもの落ち着きと活発さのバランスなども見られていると考えられます。
一般入試の試験内容とポイント
一般入試の試験内容は以下の通りです。
- ペーパー
- 体操
- 絵画制作
- 母子行動観察
- 生活巧緻性
- 面接(10~15分)
試験に親子活動を取り入れている学校は少なく、東京女学館小学校ならではの特徴といえるでしょう。
母子でダンスやゲームなどに取り組むほか、ときには保護者同士の関わりを見る場面もあります。子どもだけでなく、保護者も含めて多角的に観察する内容となっています。
また、試験全体で3時間前後に及ぶため、長時間にわたって集中して取り組む力も必要です。
一方で、すべての考査でトップレベルの成績を取ることが求められるわけではありません。
その子なりに積み上げてきた経験や、豊かな体験から生まれる好奇心、品性なども含め、子どものさまざまな側面を見ている点が特徴です。
単純に成績順で評価するのではなく、これまでの成長や個性を含めて、その子らしさを見ようとしていると考えられます。
東京女学館小学校の特色
東京女学館小学校が人気の理由は、その特色にもあります。
ここでは、同校が持つ教育の特徴を見ていきましょう。
日本の伝統文化を学ぶ「すずかけ」
「すずかけ」は日本の伝統文化を学ぶ授業です。
- 華道、茶道
- 筝
- 着付け
- 日本舞踊
- 箸使い、和食マナー
- 座禅
- 百人一首、昔の話、昔あそび
など、さまざまな伝統文化を学び、国際的に活躍するために必要な日本人としてのアイデンティティや品性を育てます。
授業では華道の先生や着付けの先生など専門家が指導し、6年を通して学びを深められるカリキュラムとなっています。
伝統文化を継続的かつ本格的に学べる小学校は珍しく、東京女学館小学校ならではの特徴的な教育の一つといえるでしょう。
体験活動・情報教育を学ぶ「つばさ」
「つばさ」は、体験活動や情報教育を通して、自ら考えて学ぶ力を育てる授業です。
- 虫取り、梨もぎ
- パンづくり
- 店員体験
- 奥日光ハイキング、館山宿泊合宿
- 消防署、防災センター、工場見学
- 博物館、美術館見学
- スキー教室
- コイの解剖
このように、多くの体験活動を実施し、好奇心や主体性、思考力を育てます。
また、情報教育では、体験活動などをパソコンやiPadを用いてまとめ、情報を人に伝える力や、活用する方法を習得します。
こうした学びの中で、自分で考えて行動するだけでなく、周囲と協力しながら物事を進める経験を重ねます。
東京女学館小学校が大切にしているのが、「インクルーシブ・リーダーシップ」です。一人ひとりが主体性を発揮し、物事をよい方向へ導いていく力を育てています。
「つばさ」は、こうしたリーダーシップを実践的に学ぶ機会の一つといえるでしょう。
国際性・英語力を学ぶ「とびら」
「とびら」は、英語を通してコミュニケーション力や国際性を育てる授業です。
1年生から歌や遊びを通して英語に親しみ、中学年からはゲームや寸劇を取り入れ、英語を話したり聞いたりする力を養います。
高学年ではプレゼンテーションや英語劇にも取り組み、文法や語彙を学びながら、読む力・書く力も身につけます。
また、インターナショナルスクールとの交流やタスマニア海外研修、イングリッシュキャンプなど、実際に英語を使ってコミュニケーションを取る機会も設けられています。
英語を知識として学ぶだけでなく、コミュニケーションの手段として実践的に身につけられる点が特徴です。
「すずかけ」「つばさ」「とびら」の3つの授業は、東京女学館小学校が目指す女性リーダーの育成を支える教育の柱です。
こうした教育を通して、国際社会で自分の考えを持ち、周囲と関わりながら活躍できる女性を育てています。
東京女学館小学校の学費は?
東京女学館小学校の初年度納入金は136万円です。
2026年度の学納金はこちらです。
| 項目 | 金額 |
| 入学金 | 290,000円 |
| 授業料 | 618,000円 |
| 教材費 | 95,000円 |
| 施設運営費 | 150,000円 |
| 教育充実費 | 72,000円 |
| 給食費 | 131,000円 |
| リボンの会会費 | 4,000円 |
| 文集・新聞・地震対策費 | 7,000円 |
| 合計 | 1,367,000円 |
2年目以降は入学金を差し引いた107万円前後となる予定ですが、昨今の物価上昇を受けて、今後学費が改定される可能性もあります。
東京女学館小学校に受かる子・家庭の特徴
高倍率の東京女学館小学校では、どのような子どもや家庭が求められるのでしょうか。
ここでは考査内容や学校の教育方針から、合格につながりやすい子どもの特徴を解説します。
好奇心があり天真爛漫な子ども
多くの体験活動があり、体育科にも力を入れる東京女学館小学校には、好奇心が旺盛でなんでも楽しめる天真爛漫な子どもとの相性がよいと考えられます。
AO入試・一般入試では共通して体幹の強さが見られます。
同校では、女性リーダーを育てるうえで心身の健康も大切とされ、体操朝礼や温水プールを用いた長期間の水泳授業、スキー指導など、活発な学校生活が特徴です。
外遊びが好きな子や、さまざまな体験や取り組みに目を輝かせながら意欲的に参加できる子は、考査だけでなく、入学後の学校生活にもなじみやすいでしょう。
一般入試の試験科目が多岐にわたり、試験時間が長いのも、それぞれの課題に意欲的に取り組めるかどうかを見るためだと考えられます。
愛情を感じながら育った子ども
保護者や周囲からの愛情をたくさん感じながら育っている子どもは、東京女学館小学校の校風に合いやすいと考えられます。
同校の校長先生は、愛情で満たされることで自己肯定感が育ち、心に余裕が生まれて相手を思いやる気持ちが芽生え、心豊かに成長していくという考えを示しています。
こうした考えから、AO入試・一般入試のどちらにも、保護者と子どもの関係性を観察する機会が設けられています。
また、AO入試では、膨大な文章量の推薦書が2通必要です。特に、親族以外の人物が記入する推薦書は、子どものことをよく知り、健やかな成長を願っている人物でなければ、十分な内容を書くのは難しいでしょう。
そのため、両親や親族だけでなく、家庭の外にも子どもの成長を温かく見守ってくれる大人がいることは、東京女学館小学校のAO入試を考えるうえでも大切なポイントといえます。
確かな情報をもとに学校を理解しようとする家庭
不確かな情報に左右されず、学校が大切にしている価値観を理解しようとする家庭は、東京女学館小学校との相性がよいと考えられます。
伝統校には入学試験に関するさまざまな噂が流れることも少なくありません。
「推薦書は権力者に書いてもらったほうがいい」「縁故が必要である」「受験準備はこれをした方がいい」など、多くの情報が飛び交う中で、噂をそのまま信じるのではなく、学校からの発信や実際の学校生活を自分の目や耳で確かめることが大切です。
東京女学館小学校は、積極的に情報を発信する学校です。
校長室だよりや学校だよりは学校ホームページから確認できるほか、運動会や学芸会、授業などの公開にも積極的です。
学校の教育方針や子どもたちの様子をよく理解したうえで受験してほしいという学校の姿勢がうかがえます。
学校が発信する情報を素直に受け止め、自分の家庭の教育方針と結びつけて考えられる家庭は、東京女学館小学校に合格しやすい家庭の特徴といえるでしょう。
子どもの成長を第一に考える家庭
子どもの成長を第一に考えながら受験準備に取り組める家庭は、東京女学館小学校の教育方針と相性がよいと考えられます。
東京女学館小学校では、過度な受験対策が子ども本来の感情や個性の成長を妨げる可能性があるとして、負担を抑えるためにAO入試を導入しました。
ある程度の対策も必要ですが、合格のために子どもを作り込むのではなく、子どもの成長を大切にしながら、必要な準備を進めていくことが重要です。
同校の入学試験は、単純に成績上位者から順番に合格者を決めるのではなく、絶対評価を基本としながら相対評価も組み合わせて、総合的に合否を判断しています。
考査で上位を目指すのではなく、その子自身が持つ魅力を引き出せるような受験準備が大切です。
東京女学館小学校を受験する保護者からよくある質問

東京女学館小学校を受験するにあたってよく寄せられる質問に回答します。
AO入試の推薦者は誰がいいですか?
親族以外で、子どものことをよく知る大人に依頼しましょう。
幼児教室や保育園・幼稚園、習い事の先生など、できるだけ幼い頃から継続的に子どもと関わってきた人物が適しています。
推薦書には、以下の項目を記載する必要があります。
- 自己紹介
- 東京女学館小学校の学校案内に対する考え
- 推薦する子どもがこの学校に向いていると思える点
- 推薦する子どもがどのような人になってほしいと考えるか
- 入学試験にあたり保護者にどのようなアドバイスをしたか
このように、推薦書では子どもの性格や特徴だけでなく、学校との相性や将来像、保護者へのアドバイスまで記載します。
そのため、子どものことを客観的に知っているだけでなく、将来を考えながら成長を見守り、保護者や子ども自身と信頼関係を築いている人物に依頼すると、子どもの姿がより具体的に伝わる推薦書になるでしょう。
AO入試と一般入試は併願した方がいいですか?
基本的に、東京女学館小学校を第一志望とする場合、チャンスを増やすためにも併願が望ましいとされます。
また、AO入試と一般入試の併願が、選考結果に有利または不利に働くことはありません。
ただし、都内の小学校受験は11月1〜3日に試験日が集中するため、11月1日のAO入試と11月2日または3日の一般入試を併願すると、ほかの小学校を受験する機会が限られやすくなります。
そのため、高倍率である一般入試まで受験せず、AO入試と第二志望の小学校を併願するケースも考えられます。
東京女学館小学校の偏差値はいくつですか?
小学校受験には、一般的な中学・高校受験のような偏差値はありません。
とくに東京女学館小学校はAO入試も実施しており、学力だけで合否が決まる入試ではないため、偏差値で難易度を表すことはできません。
一方、内部進学先となる東京女学館中学校の偏差値は53(四谷大塚)とされています。
高校は2012年に募集を停止して完全中高一貫校となっているため、高校受験の偏差値はありません。
しかし、大学進学実績を見ると、医学部10人、早慶上理ICU86人のほか、東京藝術大学などにも合格者を輩出しています。
中学校の偏差値だけを見ると分かりにくい、大学進学実績の充実ぶりも東京女学館の特徴です。
東京女学館小学校から中学受験する子はいますか?
東京女学館小学校からは、基本的にほとんどの児童が東京女学館中学校へ内部進学します。一方で、数名が外部の中学校を受験する年もあります。
小学校から高校までの一貫教育を基本とする学校ですが、本人の将来の目標や希望する進路に合わせて、外部中学校を受験することも可能です。
同校は、基礎基本の学習を大切にする校風です。
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東京女学館小学校の倍率まとめ
東京女学館小学校は、日本の伝統文化を大切にしながら、英語やコミュニケーション力を育て、国際的な女性リーダーを育てる学校です。
倍率は約7倍と高く、近年は上昇傾向にあります。AO入試と一般入試では倍率が大きく異なるため、志望度が高い場合はAO入試が第一選択となります。
入学試験では、親子活動を取り入れるなど、子どもだけでなく保護者の関わりも見られます。学校との相性や家庭の考え方も、受験を考えるうえで重要なポイントです。
子どもを第一に考えながら、学校との相性を見極めたうえで受験準備を進めましょう。





