
目次
筑波大学附属小学校の基本情報
筑波大学附属小学校は、1873年に師範学校の付属小学校として設立され、1973年に筑波大学附属小学校と改名し現在に至ります。
明治天皇、大正天皇(当時皇太子)が行啓した歴史と伝統ある国立小学校で、多くのご家庭が志願します。ここでは、まず筑波大学附属小学校の教育目標や特徴をみていきましょう。
筑波大学附属小学校の教育目標
筑波大学附属小学校は、次のポイントを踏まえて教育目標を掲げています。
- 人間であることの自覚を深める
- 文化を継承・創造する
- 国民であることの自覚をもつ
- 健康で活動力をもつ
一般的な公立小学校は「思いやりのある子」や「自ら考える子」といった個々の能力を伸ばす教育目標を掲げるのが一般的です。
一方、国立である筑波大学付属小学校は、「文化の継承」や「国民としての自覚」といった、日本を支える人材の育成に焦点を当てている特徴があります。
筑波大学附属小学校の特色
筑波大学附属小学校は、筑波大学と連携して初等教育の研究をする使命があります。授業は研究や実験的な要素を含むため、公立小学校とは違った教育活動となる点が特徴です。
研究成果は、毎年6月(学習公開研究発表会)と2月(初等教育研修会)の年2回、それぞれ2日にわたって公開されます。また、初等教育においてもっとも権威のある月刊誌「教育研究」に発表され、多くの小学校教員の参考となっています。
筑波大学附属小学校の難易度と受験概要

筑波大学附属小学校の倍率や難易度、受験の概要をみていきましょう。
倍率と難易度
筑波大学附属小学校の募集人員は128名で、男女64名ずつです。それに対し、志願者数は毎年3400人〜4000人前後と、志願倍率はおよそ30倍にもなります。
筑波大学附属小学校の試験は三次選考まであり、選考倍率はこちらです。
- 一次選考(抽選):2倍前後
- 二次選考(ペーパー・運動試験など):10倍前後
- 三次選考(抽選):1.6倍前後
一次選考・三次選考の抽選倍率はそれほど高くありません。一方、ペーパー試験・運動試験・行動観察といった子どもの実力を評価する二次選考の倍率は10倍と高い点に注意が必要です。
運だけでは合格が難しいという特徴があり、小学校受験全体で見ても、筑波大学附属小学校の合格難易度は非常に高いといえます。
出願資格と通学区域
筑波大学附属小学校に出願するには、通学区域に注意が必要です。
出願日時点で、
- 東京23区
- 西東京市
- 埼玉県和光市
のいずれかの地域に保護者と同居し、入学後も上記の地域内に家族と生活している必要があります。受験のための一時的な住所変更は認められません。
また、二次試験時に住民票の提出が求められます。出願時点で住所が上記内であるか必ず確認しましょう。
抽選・考査の入試日程
2025年(2026年度入学)に実施される入学試験の日程は以下の通りです。
- 募集要項の購入(web):10月6日~10月17日
- 出願(web):10月14日~10月17日
- 第一次選考受験票印刷:11月6日~11日
- 第一次選考(抽選):11月8日
- 第二次選考受付(持参):11月20日
- 第二次選考:12月14日~16日
- 第二次選考結果発表:12月17日
- 第三次選考(抽選):12月18日
- 入学予定者発表:12月19日
出願後は第一次抽選が11月初旬にあり、約3500人の志願者のうち約半数が合格します。その後、第二次選考が12月中旬に実施され、ペーパー試験や運動試験などを通じて約200人が合格し、2回目の抽選である第三次選考へと進みます。
出願開始から入学予定者発表まで、2か月以上と長い試験です。
筑波大学附属小学校の二次試験内容と対策

筑波大学附属小学校の二次試験は、月齢による発達の違いを考慮し、志願者の生年月日順にグループ分けしたうえで実施されます。
ここからは、その二次試験でどのような内容が行われるのかを解説していきます。
「小学校受験で国立のみ受験はアリ?塾なしで合格できますか?(学び相談室)」
ペーパーテスト
筑波大学附属小学校のペーパーテストでは、お話の記憶と図形に関する問題が毎年出題されるのが特徴です。
お話の記憶の問題では、まず1000字前後・およそ3分の長いお話を聞きます。その後、問題文が流れるため、手元の用紙に丸や三角などの記号を用いて解答します。
登場する人物や出来事の順番、物の数を頭の中で映像化し、記憶できるようにしておきましょう。また、お話に出てくるアイテムから季節を想像するなど、物語の背景を考えることも大切です。
図形の問題では、重ね図形・対称図形・回転図形などが出題されます。図形問題は初見では理解しにくく、さらに制限時間が短い傾向があるため、入念な対策が求められます。
筑波大学附属小学校の過去問題集や、小学校受験対策のパイオニア的存在であるこぐま会・理英会などの分野別問題集で演習を重ねましょう。
制作
筑波大学附属小学校の二次試験では、用意された材料で指示されたものを作る制作課題があります。
色を塗る・ちぎる・はさみで切る・貼る(シール・のり・セロハンテープ)・モールをねじる・リボンを結ぶなど、手先をまんべんなく使う試験です。
例えば、
- 線の内側に色を塗る
- 線にそって紙をちぎり、シールを貼る
- もう一枚の紙は、線にそってはさみで切る
- 2枚を見本のように組み合わせ、セロハンテープで貼り付ける
- 最後にモールを一周巻きつけ、ねじって留める
といった工程で、生き物などを作成します。制限時間は短く、グループ内の何名かは最後まで完成できないように設定されています。
政策課題ですが、創造力や発想力をみる試験ではありません。手先の巧緻性や丁寧さ、理解力が試される試験であるため、丁寧にかつ素早く取り組めるよう対策しましょう。
口頭試問
受験生面接としては実施されませんが、行動観察を実施する前に口頭試問がおこなわれます。
- 「誰ときましたか」
- 「どうやってきましたか」
- 「好きな〇〇はなんですか」
- 「朝ごはんは何を食べましたか」
- 「お誕生日はいつですか」
といった基礎的な質問が多く、対策しやすい課題です。落ち着いて受け答えできるよう、日常生活の中で繰り返し練習しておきましょう。
行動観察
筑波大学附属小学校の行動観察では、5人一組で協同作業やゲームをおこない、子どもたちの素の姿を観察・評価します。
過去には、紙コップを使ったタワー作りやじゃんけんゲームといった、子どもが夢中になる課題が出されました。
勝ち負けそのもので合否が決まるわけではなく、重要なのは子どもがグループ内でどのように振る舞うかです。
例えば、周囲の子どもたちが意欲的に活動できるように声をかけたり、自分の意見をしっかり伝えつつ、他人の意見にも耳を傾ける姿勢が評価されます。
必ずしもリーダーシップを取る必要はなく、協調性や柔軟性のある態度や、目的に向かって頑張る姿が高評価につながるポイントです。
運動
運動試験では、クマ歩き・鉄棒ぶら下がり・マット運動などをおこないます。
とくにクマ歩きは筑波大学附属小学校の伝統的な課題で、毎年必ず出題されます。クマ歩き
とは、四つん這いの姿勢で、膝はつかずお尻を高く上げた状態で進む運動のことです。
クマ歩きは受験生のほとんどが対策して臨むため、レベルが高くなりやすい項目です。できればクマ走りができるように練習しておきましょう。
保護者作文
子どもの試験中には、保護者による作文(400字程度)の時間があります。
過去には、以下のような出題がありました。
- 学校生活を通して子どもがどのように成長するイメージを持っているか
- PTA役員をやることについてどう思うか、活動の是非をどう考えているか
- 学校生活で想定される問題とそれに対し保護者としてどうサポートするか
- 本校の行事は体力的・精神的に厳しいが保護者としてどう考えているか
- 子どもが学校に行きたくないと言ったらどのように対応するか
ポイントとしては、筑波大学附属小学校を理解しているか、学校と家庭の教育方針は一致しているか、学校への協力はできるのかを問われるテーマとなっています。
25分の制限時間でスムーズに記入するには、事前に学校の情報や教育方針をある程度まとめておく必要があります。メモは持ち込めないため、過去出題されたテーマで何回か実際に書いて練習しておきましょう。
保護者の作文は入試の合否に関係ないと説明されますが、「大きな影響はない」程度に捉え、真剣に書くようにしてください。
また、12月に実施されるため寒さが厳しく、手がかじかんでうまく書けないケースがあるため、カイロを用意すると安心です。
筑波大学附属小学校の出願
筑波大学附属小学校の第一次選考はweb出願となります。第二次選考の出願は郵送受付となり、提出する書類や期間に注意が必要です。
ここでは、出願についてや提出する書類についてみていきましょう。
出願書類
筑波大学附属小学校を受験する際には、まず出願サイトから募集要項を購入しましょう。(2,000円)
募集要項の内容をよく確認したら、Web上で第一次選考に出願し、志願理由を200字以内で記入します。
第二次選考の受付では、以下の書類を持参します。
- 入学志願書
- 志願理由書
- 検査カード(横5.5cm縦7.5cmの証明写真貼付)
- 住民票の写し(家族全員分・志願者氏名欄は赤線で囲む)
第一次選考の出願時も志願理由を記入する必要がありますが、第二次選考時には改めて志願理由書を提出しなくてはなりません。
また、第一次選考の抽選から第二次選考受付までは短い期間であるため、証明写真や住民票など必要なものはあらかじめ準備しておきましょう。
志望理由を書くコツ
志願理由は一次選考時は200字と短め、二次選考時は所定用紙に6行と長めに記入する必要があります。
筑波大学附属小学校が志願理由を2回書かせるのには理由があり、入学への本気度の確認や、筑波大学附属小学校への理解を促すといった目的があると考えられます。
志願理由書では、
- 筑波大学附属小学校に興味をもったきっかけ
- 筑波大学附属小学校の使命への理解
- 学校の教育方針と家庭の教育方針の共通点
- 入学後に期待していること
以上をポイントに記入しましょう。具体的な子育てエピソードをまじえると、説得力がある志願理由書となります。
筑波大学附属小学校を受験するメリット・デメリット

受験しようか迷っている方に向けて、筑波大学附属小学校を受験するメリット・デメリットを解説します。
メリット①最先端の教育を受けられる
筑波大学付属小学校に入学すると、国立であるため授業料が無料にもかかわらず、最先端の教育を受けられるメリットがあります。
筑波大学附属小学校は、国立大学付属小学校のなかで最も古く教育研究が盛んです。筑波大学付属小学校の先生方は初等教育に関する本もよく執筆しており、多くの公立小学校教員が参考にしています。
メリット②系列校の偏差値が高い
筑波大学付属中学校の偏差値は64(四谷大塚)と高く、首都圏トップクラスの進学校です。
内部進学試験はあるものの、中学受験の競争に巻き込まれずに附属中学校へ進学できるメリットがあります。
また、筑波大学附属中学校は東京大学受験指導で知られる鉄緑会の指定校でもあります。そのため、大学受験までを見据えて志望する家庭も少なくありません。
メリット③受験勉強が就学後も活きる
筑波大学附属小学校の試験で定番のクマ歩きは、練習することで体幹が鍛えられるため、基礎的な運動能力の向上が期待できます。
また、毎年出題される図形の問題では空間認識力が育ち、お話の記憶の問題では人の話を集中して聞く力を養うことができます。
このように、筑波大学附属小学校の受験準備をすることで、入学後の学びや生活につながっていく点が大きなメリットです。
デメリット①学童がなく親の出番が多い
筑波大学附属小学校には、私立のようなアフタースクールや公立のような公設学童がありません。
家庭学習日(休み)や早帰りも公立に比べると多いため、共働き家庭の場合は放課後対策を考えておく必要があります。
また、筑波大学附属小学校はPTA活動が盛んです。PTAは全保護者が在学中の6年間で2回担う必要があり、行事の引率や研究授業の手伝いなどを任されます。
基本的には親の出番が多い学校である点に注意が必要です。
デメリット②内部進学できない可能性がある
筑波大学附属小学校から筑波大学附属中学校への進学率は85%で、全員が内部進学できるわけではない点がメリットの一つです。
筑波大学附属中学校から筑波大学付属高校への進学率は80%と、高校への内部進学はさらに厳しくなります。
筑波大学付属小学校から高校まで全員が内部進学できるわけではないため、中学受験あるいは高校受験となる可能性を考える必要があります。
よくある質問
筑波大学附属小学校の受験に関するよくある質問をみていきましょう。
筑波大学附属小学校の難易度は?
筑波大学附属小学校の受験難易度は、小学校受験のなかでも最難関だと考えるとよいでしょう。
入学試験抽選が2回あるうえに、実力を測る2次試験も倍率が10倍あります。私立の最難関を目指して数年準備している家庭も多く受験するため、合格には実力と運の両方が必要です。
筑波大付属小学校の抽選倍率は?
第一次選考の抽選倍率は2〜2.5倍前後です。約3500〜4000人が受験するため、半数にしぼられても2000人に近い人数が第二次選考に進みます。
第三次選考では、およそ200人が抽選にのぞみ、男女各64名(128名)が入学予定者となります。倍率はおよそ1.6倍です。
筑波大学附属小学校受験の概要まとめ
筑波大学附属小学校は、長い歴史を誇る国立小学校で、毎年数千人もの志願者が集まります。入試は一次選考(抽選)、二次選考、三次選考(抽選)という三段階で実施され、そのうち二度が抽選という独特の仕組みです。
特に二次試験のペーパーは制限時間が短く難易度が高いため、しっかりとした準備が必要です。
一方で、内部進学のハードルが高いことや学童保育が設けられていないことから、進学後の放課後対策についても十分な検討が求められます。
筑波大学附属小学校への合格は非常に狭き門ですが、受験準備を通じて就学後に必要な力を育む貴重な機会にもなります。メリット・デメリットを踏まえ、ご家庭の方針や子どもの個性に合うかどうかを考えて準備を進めましょう。
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