この記事を書いた人

RISU Japan株式会社
代表取締役CEO

今木智隆

子ども（小3）が重さや時間など算数の単位変換（単位換算）の計算が苦手です。どのように教えればいいのでしょうか？苦手克服のポイントを教えてください。

単位変換が難しい原因

この章ではお子さんが単位変換につまずく原因について解説します。

基本の暗記不足

単位変換には覚えるべき基本がいくつもあります。

その基本をしっかり暗記できていないために、単位変換につまずくお子さんは多いです。

単位変換の基本とは、「1m=100cm」「1kg=1000g」「1L=1000mL」といった大きい単位と小さい単位の関係や、「1g＝1mL」といった他の単位との関係です。

これらの単位変換の基本には法則性はあるものの、九九のような覚えやすさはないため、コツコツと覚える必要があります。

位（くらい）と単位の理解でのつまずき

10進法（位・くらい）の理解が不足していると、単位変換につまずきやすいです。

10のまとまりになったら位が上がったり、小数点が移動したりするといった位の仕組みを理解できていないと、単位変換の問題で混乱します。

位については小1から学習する内容ですので、小1の学習は算数学習の土台になります。

また、単位変換は長さ、重さ、体積などの単位の種類によって換算方法が異なることも、つまずく原因になります

長さには長さの単位変換、体積には体積の単位変換というように、それぞれのルールを覚えることが大切です。

単位変換と計算に慣れていない

単位変換の問題は、「単位をそろえる」と「計算する」という2つの作業があります。

どちらかを間違えると絶対に正解にたどり着けません。

例えば、「1350mは何㎞ですか？」という問題には、以下の手順が含まれています。

①mをkmにする→1000で割ることを思い出す

②1350を1000で割る→割り算の計算

単位変換には、基本を思い出して活用する力と、四則計算の力が不可欠です。

また、「1.35km」といった小数の理解も必要になってきます。

このように、単位変換の問題を解くには、暗記力や計算力といった複数の算数力が求められます。

単位変換を得意にするポイント

ここからは、単位変換を得意にするポイントについて解説します。

①単位の基本を覚える

単位には基準となる単位があり、長さは「m」、重さは「g」です。

これらの基準となる単位は低学年で学習します。

復習をして必ず理解しましょう。

そして、各単位の繰り上がり方を教えていきます。

繰り上がり方は単位によって異なることを伝え、以下の基本を暗記させていきます。

【長さ】

1km＝1000m

1m＝100㎝

1㎝＝10㎜

【重さ】

1t＝1000㎏

1kg＝1000g

1g＝1000mg　

【かさ】

1kL=1000L

1L=10dL=1000mL

1dL=100mL  

【時間】

1日＝24時間

1時間＝60分

1分＝60秒

②接頭辞の意味に注目する

単位の基本を効率よく暗記するには、接頭辞の意味に注目すると良いです。

単位の接頭辞とは、「キロ（k）」「センチ（c）」「ミリ（m）」などです。

この接頭辞の意味は単位を一通り学習した6年生で学習しますが、早めに教えておくと単位の理解が深まります。

以下の表を参考に、接頭辞の読み方と意味を覚えましょう。

接頭辞は長さの「m」、重さの「g」などの基準の単位の前につき、その大きさや小ささを表しています。

例えば、kmは「mの1000倍」、つまり「1000m」を意味します。

mLは「Lの1/1000倍」であり、ここから「1L=1000mL」の関係がわかります。

この接頭辞の意味を理解すれば、長さ・重さ・体積などの異なる単位でも同じ法則で考えられ、丸暗記に頼らず、論理的に単位変換の基本を覚えられます。

③単位換算表で単位の大きさを視覚的にとらえる

単位換算表とは一目で単位の仕組みがわかる表です。

単位換算表があれば、簡単に単位変換ができます。

しかし、テストや試験で単位換算表を使うことは難しいため、単位換算表を頭にインプットする必要があります。

単位換算表を家中に張って目に触れる機会を増やしたり、九九を暗記した時のように復唱したりして覚えていきましょう。

単位の仕組みや接頭辞の意味も一緒に覚えると、暗記の助けになります。

反復練習は、暗記や学習の基本です。

反復練習の大切さをお子さんに説きながら、単位換算表をインプットさせていきましょう。

下記のリンクからRISUオリジナルの単位換算表をダウンロードできますので、冷蔵庫や壁などに貼ってぜひご活用ください。

RISUオリジナル単位換算表

④実際に測ってみる

ものさしやはかり、計量カップを使って実際に長さやかさを測る活動をご家庭で取り入れましょう。

実際に測ることで、お子さんの量感が育ち、単位を深く理解できます。

量感とは、「長さ」「重さ」「かさ」などの量に対して、計器を使わずに「だいたいこのぐらい」と見当をつけられる感覚のことです。

量感が身につくと、答えを予測したり、日常生活で物の量を見積もったりできます。

「1Lの牛乳パックの重さ」「1kgの重さはどれくらいか」という問題では、実際に計測した経験が役立ちます。

単位変換の問題でも、「1Lの計量カップ＝1000mL（1000mg）＝1kg」と、実際に計測した経験や知識を結びつけて問題を解決できます。

また、以下のような身近な物を「自分なりのものさし」として基準にすることで、より実感を伴った量感が身につき、単位変換のイメージもつかみやすくなります。

• 1g＝1円玉
• 1m＝傘、机の高さ
• 1L＝牛乳パック
• 1㎠＝ノートのマス（5ミリ方眼）
• 黒板の長さ＝約3m
• プール＝25m
• 学校の廊下や校庭＝50m～

量感や「自分なりのものさし」は、単位変換の問題を解く際に「だいたいこのぐらいの大きさになりそうだな」「こんなに長い（重い）はずがないな」と、答えの予測や計算ミスの防止に役立ちます。

⑤問題演習を行う

単位変換の基本を覚えたら、問題演習を行いましょう。

最初は単位換算表で確認しながら問題を解いてもOK.

自転車の補助輪や手の支えを外していくイメージで少しずつ単位換算表を使わないで問題を解くようにしましょう。

単位変換の問題には特につまずきやすい単位があります。

それは面積、体積、時間です。

これらの単位変換の問題には、重点的に取り組んでいきましょう。

以下はつまずきやすい単位変換のポイントです。

＜面積＞

【例題①】1㎡は何㎠ですか？

単位変換でつまずきやすい問題は、単位換算表の暗記では対応できない問題である場合が多いです。

例題①は、「1m＝100㎝」という単位の基本に加え、「1㎡が縦横1mの正方形であること」を理解している必要があります。

また、a（アール）やha（ヘクタール）などのお子さんにとって馴染みのない単位もつまずきやすいです。

aは縦横10mの正方形で10×10＝100㎡、haは縦横100mの正方形で100×100＝10000㎡と覚える必要があります。

haには、100倍の意味を表す接頭辞のh（ヘクト）がついているため、aの100倍の大きさと覚えることもできます。

＜体積＞

【例題②】1㎥は何㎤ですか？

体積の問題では、縦横の長さに高さが加わり、三次元の意味を押さえて単位変換をする必要があります。

例題②は、「1㎥は縦横と高さが1mの立方体であること」と、「1m＝100㎝」を使って解きます。

また、体積（㎤、㎥）とかさ（mL、L）の関係も押さえておきましょう。

• 1mL＝1㎤
• 1L＝1000mL＝1000㎤
• 1㎥＝1000000㎤＝1000L＝1kL

このような他の単位にまたがる単位変換は、中学受験に必須の知識です。

単位換算表からもうワンステップ踏み込んだ学習をしていきましょう。

＜時間＞

【例題③】2時間20分は何分ですか？

2時間20分＝140分

時間の単位変換につまずきやすいのは、時間がお子さんに不慣れな60進法だからです。

時間の単位変換や小2・小3で学習します。

1時間＝60分や1分＝60秒の基本をしっかりと理解して計算できるようにしましょう。

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まとめ

単位変換を得意にしていくためには、単位変換の基本をしっかりインプットすることが大切です。

そして、単位換算表を活用して問題を解いたり、実際に長さや重さを測ったりして、暗記した知識をアウトプットすることで、さらに知識を強固にしていきます。

本記事を参考に、インプットとアウトプットの両方に取り組み、単位変換を自然にできるようにしていきましょう。

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