子どもが中学受験を目指すことになりました。父親がすべき役割を教えてください
お子さんが中学受験を目指すことになれば、父親としてどのようなサポートをしてあげればよいのかと考えてしまいますよね。
共働きであればなおさら、自分もしっかりと役割を果たさなければならないと、はりきっていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
中学受験において親が果たさなければならない一番の役割は、子どもに勉強を教えることでもなく、子どもがスケジュール通り出来ているのかを監視することでもなく、勉強しやすい環境を作ってあげることです。
ここでは、中学受験において、父親が行うべき3つの役割と、してはいけない5つのNG行動についてをご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
◆中学受験で父親が行うべき3つの役割
父親はとかく「中学受験=第一希望への合格」と考えがちです。
その結果、仕事場での成果主義やPDCAといったマネジメント手法を家庭にも持ち込んでしまうのですが、そこに大きな落とし穴が存在しています。
父親は、母親や子どもの上司ではないということをまずは理解しましょう。
そして、教育は、最大限の成果を達成することのみが目的ではないということを肝に銘じておきましょう。
その2点を抑えていただいたうえで、ここでは、父親が行うべき3つの役割についてご紹介したいと思います。
◎母親のフォロー役に徹する
環境づくりは家庭全体の問題ではありますが、特に父親と母親との協力体制が不可欠です。
役割分担が必要になるわけですが、子供に対しての共感力というのは母親のほうが高い傾向にありますので、日々の細かいフォローは母親の役割になることが多いようです。
母親は子ども達を励ましたり、スケジュールの管理をしたりすることになるわけです。
しかし、のめりこみ過ぎてしまうと、成績が思うように伸びない、子どもが勉強をしない、といったことが起こるたびに母親がストレスに押しつぶされてしまいます。
父親は特に母親の様子を観察し、精神的なフォロー役に徹してください。
ここで大切なのは「無関心」だと思われないようにすることです。
日々の学習には口を出さなくても、学習状況の把握や試験の成績、志望校がどのような学校なのかといったことは理解したうえで見守りましょう。
母親の良き相談相手としてどっしりと構えて、フォロー役に徹していただきたいですね。
◎子供の気分転換を一緒にする
母親の精神的なフォローが最重要の役割ではありますが、時には子ども達のストレス発散にも付き合ってあげてください。
気を付けなければならないのは、事前に母親に相談してから行うということです。
「私が日々勉強させるのに苦労しているのに、台無しになっちゃうじゃない!」
と思われてしまっては、全く意味がなくなってしまいます。
少し引いたところから見ているからこそ、気付くことはあります。
子どもに少しストレス発散させた方が良いと感じたこと、気分転換の内容やスケジュールを共有すること、その時間で母親も自由な時間を過ごし気分転換をした方が良いこと、などを提案してみてください。
また気分転換の内容ですが、様々な体験をさせてあげることで勉強に気付きが起こる感覚を育ててあげると良いでしょう。
例えばアスレチックスなどは、てこの原理など理科(物理)に通じる要素がふんだんに取り入れられています。
お菓子作りは分量を計ったり、混ぜることで何か別の物に変わったりしますので、算数や理科(化学)のオンパレードです。
公園などに散歩に行けば、道端に咲いている花を観察したり、名前や特徴を調べたりといった学びの機会もあります。
プラネタリウムや博物館などが真っ先に浮かぶと思いますが、様々な場所に気付きは存在しています。
子ども達はいま何を学んでいるのかを観察し、学んだことを実際に体感できる気分転換はないか、考えてみてください。
もちろん、目的はあくまでも気分転換ですから、勉強と結びつけることを強要しないようにしてください。
自然に気付きを感じてくれたら儲けもの、くらいの感覚で行えば良いのです。
◎子供と母親を褒めてあげる
小学生の子ども達は精神的にも肉体的にも親御さんのサポートが欠かせない時期です。
それが「中学受験は親の受験」と言われる由縁です。
だからといって親が精神的にまいってしまったり、消耗してしまっては意味がありません。
子ども達に寄り添い、安心感を与えることが一番大切なことです。
子ども達が勉強をしないことでイライラして、対立してしまっていませんか。
家族団らんの機会を積極的に持って1日の出来事を話したり、受験が終わるまで子ども達の前ではTVを観ないようにするとか、物理的な配慮をしてあげるようにしましょう。
特に地方都市に住んでいる中学受験生は、周囲に受験仲間がいないので友達と話が合わなくなってしまい、どうしても孤立しがちです。
親子一緒に感情を分かち合い、喜んだり悔しがったりすることで、孤独感をもたないように精神的なフォローをしてあげる努力が親御さんには求められています。
◆中学受験で父親がしてはいけない5つのNG行動
中学受験においての父親の役割は、のめりこみ過ぎることなく、子どもと母親が安心して受験勉強ができる家庭環境作りをすることであることをお伝えしてきました。
それでは具体的に5つのNG行動を取り上げさせていただき、何をしてしまうと雰囲気が壊れてしまうのかについてご紹介していきましょう。
◎他人事のように受験に全く関わろうとしない
中学受験にのめりこみ過ぎることなく俯瞰して対応すべきであるとお伝えしてきましたが、離れすぎてしまうと子どもの中学受験に対して無関心であると思われてしまうので、気を付けましょう。
かの有名なマザーテレサは、「愛の反対語は無関心」という言葉を残しています。
関心があることを伝えるには
・今取り組んでいることなど、勉強の進捗状況などを聞く
・成績があがったり、勉強の姿勢が変わったなど、ちょっとした変化に気付いてあげる
・以前相談されたことなどについて、それから調べたり感じたことを伝える
といった行動が効果的です。
関心を持たなければ、母親と一緒に悩んであげる人がいなくなってしまいます。
その結果、母親は孤独感を感じて、どんどん精神的に追い詰められてしまいます。
そうならないためにも、志望校の学校見学会や文化祭などには積極的に参加して、自分なりの感想を伝えるようにしてください。
行事が重なってしまった場合は、二手に分かれて参加してみるのも良いでしょう。
いくら心の中で関心を持っていても、行動で示さなければ、相手には伝わらないのです。
◎成績が上がらないことを母親のせいにする
塾に通いさえすれば成績があがると思っていたのに、家であれだけ勉強を頑張っているのに、成績があがらないといった状況になると、父親は仕事場での問題解決の癖で、原因を追求して問題を潰していこうと考えてしまいます。
原因を探った結果、塾に問題があるわけでもなく、本人も勉強しているとなってしまうと、母親しか残りません。
部下が犯した仕事の問題を解決するように母親を追及しても、精神的に追い詰めるだけで何も良いことはありません。
繰り返しになりますが、親ができることは環境を整えることであり、その役割や父親も担っています。
母親の責任を追及するのではなく、ふたりで協力してできることはないか、話し合いをして、共に解決していく姿勢で接するようにしましょう。
◎算数なのに数学(大人の知識)の考え方を用いて教える
小学生で習うことくらいは自分でも教えられると思っている方は、ぜひ過去の入試問題を解いてみてください。
どれほど今の中学受験の問題が難しいのかを理解していただけると思います。
その難しい問題を、子ども達は「数学」の知識を用いることなく「算数」の知識で解いているのです。
「数学」の知識を持っている親(大人)が「算数」を教えようとすると、塾で習った解き方ではない考え方を用いてしまうので、子ども達は混乱してしまいます。
どうしても算数の勉強に直接関わりたいと考えるのであれば、子どもに「どういう解き方を習っているのか教えて」と声をかけてみると良いでしょう。
「算数」での考え方を知ることができると同時に、子どもにとっては聞いたことを誰かに説明することで、頭の中を整理することができます。
もし説明することができなければ、何処がわかっていないのかに気付くことができます。
「親が子供に教える」のではなく「子どもと一緒に学び、一緒に問題を解く」といったスタンスで楽しむような姿勢をとるように心がけてください。
◎自由時間を一切与えない
難関中学を目指すためには、週に35時間の勉強時間を確保しなければならないとも言われています。
これは休日に8時間、平日に4時間を勉強に費やさなければ達成できません。
このような情報が間違っているわけではありませんが、勉強そのものが楽しいと思える子どもでなければ、学校以外で週35時間勉強することなどできる筈がありません。
緊張状態が続けば、大人であってもストレスで体調を崩してしまいます。
適度に自由時間を取り、勉強するときは集中できる学習習慣を身に付けるように心がけましょう。
◎昔の自分と子供を比べる
自分の受験体験と子どもの受験を比べてしまう父親は多いようですが、もしかしたら高校受験や大学受験と比べてはいませんか?
子ども達はまだ小学生であることを忘れないようにしてください。
また、中学受験経験者であったとしても、数十年前の状況と現在とでは状況が大きく変わっています。
受験者も年々増加しており、問題の難易度も格段にあがっているのです。
会社でも「昔はこうだった」という上司は煙たがられますよね。
絶対に自分と子どもを比較しないようにしてください。
RISU算数を活用した中学受験のリアルな体験談はこちらの記事でご紹介しています。
RISU算数の機能をうまく活用して志望校合格を果たしたエピソードを参考にしてくださいね。
RISU算数を中学受験に徹底活用!入塾準備から志望校合格までリアルな体験談をご紹介
◆まとめ
偏差値50の学校と聞いて、どのような印象を持たれますか。
そんなに偏差値の低い学校に中学受験してまで入る意味があるのか、と感じた方は中学受験について何もわかっていないと考えてください。
ちなみに、中学受験において偏差値50の学校は、高校受験でいうと偏差値65くらいの学校と同じくらいだと言われています。
このように、中学受験は知らない人にとってはわからないことだらけです。
であるがゆえに、祖父母から、友達から、周囲から孤立しがちになるわけですね。
仕事が忙しくてなかなか関わることが出来ない父親も大勢いらっしゃると思います。
しかし、いくら時間がなかったとしても中学受験を理解することはできる筈です。
無関心にはならないこと、それが父親のやるべき唯一無二の事なのです。