RISU 学び相談室

Q

算数オリンピックとはどういうものですか?参加するメリットは?

Q RISU算数スタッフの回答
お子様に、自分で考える思考力や、難問に立ち向かう忍耐力を身に付けてほしいですよね。 算数オリンピックには、小学校1年生からエントリーできる部門もあります。 本記事では、全5部門の算数オリンピックについてそれぞれご紹介し、算数オリンピックに出場することで身に付く3つの能力をお伝えします。

お子様の算数力を伸ばしたいと考えている方の中で、算数オリンピックへの参加を検討している方は多いでしょう。

本記事では、算数オリンピックについてあまり詳しくない方のために、算数オリンピックの種類や、算数オリンピックを通じて養われる能力について徹底解説しました。

算数オリンピックとは?

算数オリンピックとは、国境・言語・人種の人種の壁を超えて、地球上のすべての子供達が、算数を通じて思考力と独創性を競い合う大会のことです。

算数を世界の共通語として、世界中の子ども達にスポーツやゲームと同じように算数を楽しんでもらうこと、未来を担う才能を発見し育成することを目的として、世界的な数学者の広中平祐氏によって提唱されました。

1992年の第1回大会以来、毎年開催され、世界中で多くの子どもたちが才能を輝かせてきました。

近年では、日本だけでなく、中国やイラン、インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナムといったアジアの国々でも開催されています。

なお、算数オリンピックは「世界中の子ども達が競い合い、語り合うこと」を目的としているため、学習進度や志望校判定の目安となるテストではありません。

算数オリンピックには、対象学年ごとに全部で5つの部門が存在します。
それぞれの部門について、簡単にご紹介します。

①算数オリンピック キッズBEE

キッズBEEは、小学1〜3年生を対象とした大会です。
算数オリンピックの中では最も対象年齢が低く、複雑な計算問題というよりは、ひらめきを重視した問題が多いことが特徴です。

大人でもパッと見ただけでは解けない問題も多く、IQテストにも通じるような柔軟な発想が求められます。

キッズBEE専用のテキストも出版されています。出場を検討される場合は、まず専用テキストで対策するとよいでしょう。

②ジュニア算数オリンピック

ジュニア算数オリンピックは、小学校5年生以下を対象とした大会です。

小学校3年生以下を対象とするキッズBEEがあるため、主な参加者層は4、5年生が中心です。
より幅広い年代の子どもに算数を楽しんでもらうことを目的として、1997年に創設されました。

出題される問題のレベルは小学4年生修了を目安としていますが、必ずしも文科省の指導要領に準拠しているとは限らないため、注意しましょう。

③算数オリンピック

算数という万国共通の種目で、思考力と独創性を競い合う算数オリンピックは、小学6年生以下を対象とした大会です。

1992年の創設以来、すでに30回以上開催されており、算数オリンピックの中で最も歴史ある大会です。

小学生であれば学年を問わず参加することができますが、主な参加者層は小学6年生です。出題される問題のレベルは小学5年生修了を目安としていますが、前述のジュニア算数オリンピックと同様、必ずしも文科省の指導要領に準拠しているとは限らない点に注意しましょう。

④ジュニア広中杯 全国中学生数学大会

ジュニア広中杯は、中学校1、2年生を対象とした大会です。小学生は参加することができません。

2004年に創設されたジュニア広中杯は、次に紹介する広中杯の腕試しに最適なレベルとなっています。
広中杯を目指しているお子様は、一度ジュニア広中杯にチャレンジしてみることをお勧めします。

なお、ジュニア広中杯は小学生に加えて中学校3年生も参加対象外となる点に注意が必要です。

原則として、出題範囲は中学1年生修了を目安としていますが、「平面幾何」の単元に関しては例外となっています。

⑤広中杯 全国中学生数学大会

広中杯は、中学校1〜3年生を対象とした大会です。

数学界において最高の栄誉であるフィールズ賞の受賞者で、算数オリンピック会長でもある広中平祐京大名誉教授にちなみ、2000年に創設されました。

中学生であれば学年を問わず参加することができますが、主な参加者層は中学3年生です。

原則として、出題範囲は中学3年生1学期修了を目安としていますが、ジュニア広中杯と同様、「平面幾何」の単元に関しては例外です。

算数オリンピックで養われる3つの能力

算数オリンピックへの参加を通じて、お子様の将来に役立つさまざまな能力を養う事ができます。
ここからは、算数オリンピックで養われる3つの能力について解説します。

①柔軟な思考が身につく

算数オリンピックでは、複雑な計算問題というよりは、ひらめきを重視した問題が多数出題されます。

そうした問題に対応するには、柔軟な発想と論理的思考力が必要不可欠。
まずは過去問や専用テキストで演習を重ね、ひらめきと思考力をトレーニングしましょう。

思考力とは、問題解決の道すじを考えて、最適な選択を判断する力のことです。
この力は、算数の問題を解く時のみならず、社会においてさまざまな場面で求められます
算数オリンピックを通じて身につけた柔軟な思考は、きっと将来にわたってお子様の心強い味方となるでしょう。

②忍耐力が身につく

算数オリンピックで結果を残すためには、前もって地道に対策をしなければなりません。

また、本番で出題される問題を解く際にも、忍耐力は重要になってきます。
解決方法が思いつかないからといって「もう無理だ!」と投げ出してしまうようでは、いい結果を残すことはできませんよね。

このように、算数オリンピックへの挑戦を通じて忍耐力を鍛えることができます。

忍耐力とは、つらい時にもめげずに努力を重ねられる力のこと。

算数オリンピックを通じて身につけた忍耐力は、困難に直面した時に乗り越えることができたという自信を与えてくれるでしょう。

③中学受験で出題される難問への耐性がつく

算数オリンピックへの出場を検討されている方の中には、中学受験をめざしているという方も多いでしょう。
算数オリンピックを通じて、中学受験で出題される算数の難問への耐性をつけることができます。

算数は、中学受験で最も差がつきやすい教科だと言われています。算数をしっかり自分のものにすることが、合格への近道なのです。

算数オリンピック対策で難しい問題形式に慣れておくことで、中学受験で周りと差をつけることができるでしょう。

算数オリンピックの申し込み情報

算数オリンピックに出るためには、公式HPから申し込みを行う必要があります。

ここでは、算数オリンピックの申し込みに関する基本的な情報をお伝えします。

参加費用

算数オリンピックの参加費は、全部門共通で税込4,950円です。

年1回の大会であることを考えると、参加費自体はそこまで高くないと言えるでしょう。

しかし、参加者は算数オリンピックに向けて専用テキストや対策本などを購入するケースがほとんどであり、その場合には参加費にプラスして教材費も必要になります。

参加方法

算数オリンピックに参加するためには、公式HPから申し込みをする必要があります。

例年、申し込み期間は4〜5月頃となっています。最新情報をマメにチェックし、忘れずに申し込みを行いましょう。

参加申し込みをすると、全国の会場で6月に開催される予選大会への参加資格を得ることができ、予選大会の成績上位者のみが、7月開催の本大会に出場することになります。

予選大会の翌日にはHPに模範解答が発表され、約1週間後には各受験者に本大会への出場権の有無についてお知らせが届きます。

大会の会場

予選大会は、予備校や学習塾が会場となっているため、地方にお住まいの方も、自宅の近くで受験することができます。

団体や学校単位で申し込んでいる場合は、その団体の所在地や学校がそのまま予選会場となります。

なお、香港にも予選会場が設けられており、本戦会場は東京・大阪・福岡の3箇所となっています。

算数オリンピックで出題される問題のレベル

算数オリンピックで出題される問題は、該当する学年の文部科学省指導要領に沿って作成されています。

しかしながら、指導要領に準拠した内容とはいえ、算数オリンピックの問題は非常に手強いものです。

大人でも簡単には解けない問題が多く、単に学力だけで突破するのは難しいでしょう。
算数オリンピックで結果を残すためには、算数オリンピック対策に特化した勉強が必要になります。
あるいは、中学受験をめざして普段から算数をかなり勉強しているお子様であれば、力試しでチャレンジしても良いかもしれません。

算数オリンピックの出題傾向は公式HPでも紹介されているほか、公式問題集も発売されているため、十分な対策が可能です。

ジュニア算数オリンピックでは予選の正答率50〜70%、算数オリンピックでは予選の正答率約50%で本戦に出場することができます。

予選大会の解答時間は90分、問題数は10問程度です。
こう聞くと、時間に余裕があるように感じるかもしれませんが、実際は1問1問が非常に難しいため、時間が余るということはないでしょう。

算数オリンピックに参加する際の対策

算数オリンピックに向けた準備としては、とにかく問題演習をこなして特殊な問題形式に慣れることが重要です。公式問題集や専用テキストを入手して、対策を行いましょう。

また、ある程度の出題傾向は公式HPからも確認できます。ぜひ参考にしてみてください。

総合的な算数力が求められる算数オリンピックの問題は、実力を養うのに持ってこいです。

一見難しそうな問題であっても、解法さえ思いつけば簡単に解けることもしばしば。
まずはたくさん数をこなして、問題形式に慣れていきましょう。

算数オリンピックの問題を解くためには、

・問題の条件を頭の中で整理する

・諦めずに考える

これら2つの力が重要になってきます。

本番は時間制限があるため、どうしても解けない場合には諦めて次の問題に進むことも戦略のうちです。
しかし、練習ではどんなに時間がかかったとしても、一度自力で解ききることを心がけましょう。

また、解いているうちに「なんとなくこうなるだろうな」と感じ取れる数学的センスも必要になってきます。

「自分にはセンスがない」と諦めてしまう人も多いですが、数学的センスは生まれつきのものではなく、問題を解くことによって誰でも磨くことができます。

まずは地道に問題演習を重ね、一歩一歩着実に力をつけていきましょう。

数学オリンピックとは

ここまで、小中学生を対象とした「算数オリンピック」について解説してきました。

最後に、高校生を対象とした「数学オリンピック」をご紹介します。

数学オリンピックとは、高校2年生以下であれば誰でも出場できる数学の大会です。

数学オリンピックの成績優秀者は、国際数学オリンピックの日本代表に選抜されます。

数学オリンピックで結果を出せば、大学の推薦入試に使うことができます。
また、就活のアピールポイントとしても使えることから、資格の一つとして捉えることもできます。

算数オリンピックは、市販の問題集で対策すれば誰でも手が届く大会でしたが、数学オリンピックはきわめてハイレベルな大会です。

数学を趣味として常に楽しんでいるレベルでなければ、結果を出すことは難しいかもしれません。

国際数学オリンピックに出場するには、小さい頃から熱心に算数に取り組んでおく必要があります。
もし、将来的にお子様を国際数学オリンピックに出場させたい、とお考えならば、小学生のうちから算数オリンピックで難しい問題形式や大会の雰囲気に慣れておくのがベターです。

以上に解説したように、算数オリンピックは数学オリンピックと比べて難易度が低く、気軽に参加することができます。 

しかし、全く対策を講じずに本番に臨んだ場合、一問も解けない可能性もあります。

記念に参加する場合も、お子様にとって意味のある経験にするために、しっかりと対策した上で臨みましょう。

国際数学オリンピックとは

国際数学オリンピックは、世界のさまざまな国と地域の数学的才能に恵まれた人たちが集まり、才能を伸ばすチャンスを与える大会です。

また、数学好きの若者から教育関係者まで、数学の世界を牽引するリーダーたちが互いに国際交流を深めることも目的としています。

大会は、1日4時間半・各3問の筆記試験に2日間に渡って取り組むという内容で、2日間の合計得点で成績が決まります。

国際数学オリンピックでは、金・銀・銅メダルそれぞれ1名ずつが表彰されるのではなく、金メダルは参加者の1/12、銀メダルは1/6、銅メダルは1/4が受賞できる仕組みになっています。

日本では1990年以来毎年、全国から選出された6名の高校生が日本代表として国際数学オリンピックに参加しています。

算数オリンピックと比べるとかなりスケールが大きく、遠い世界の話に感じられるかもしれませんね。
しかし、小学生のうちから算数オリンピックに参加しておくことで、お子様が算数への興味を深めるきっかけとなり、将来的には国際数学オリンピックをめざす可能性も高まるでしょう。

まとめ

本記事では算数オリンピックの5つの部門と、算数オリンピックに挑戦することで身につく3つの能力などについて徹底解説しました。

算数オリンピックへの挑戦を通じて、将来にも役立つ様々な能力を養うことができます。

もし少しでも興味があるならば、積極的にチャレンジしてみましょう。

また、数学オリンピックで結果を出すことができれば、推薦で大学へ進学することになった際に、お子様にとって大きな武器になります。

誰でも気軽に参加できる大会ですから、算数への興味を深めるきっかけ作りに、一度参加してみてはいかがでしょうか。

算数が好きになるのには、理由があります。
今だけ限定!RISUを1週間お試しできるキャンペーン実施中!
サービスお申し込み