
「保育園は受験に不利ではないか」「幼稚園に転園させるべき?」
と不安になる方は少なくありません。
小学校受験の準備では、幼稚園の教育環境が受験に有利ともいえる一方、
主体性が育つ保育園が有利な面もあります。
この記事では小学校受験における保育園のメリットやデメリット、
共働き家庭の小学校受験における注意点について解説します。
保育園に通わせながら小学校受験を目指す保護者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
小学校受験は保育園だと不利・幼稚園だと有利なのか

小学校受験において、保育園児が不利だと考える方もいますが、実際の国私立小学校には共働き家庭も多く、保育園出身というだけで不合格になるケースはまずありません。
学校側は、幼稚園・保育園といった通園先の違いにかかわらず、家庭教育や子どもの主体性・社会性などを総合的に判断し合否を決めます。
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保育園が児童福祉法に基づいた福祉施設であるのに対し、幼稚園は学校教育法第1条で定められた学校施設です。そのため、小学校受験をするには教育機関である幼稚園に通園したほうがいいだろうと考える方は多くおられます。
しかし実際には、学校が入学試験で評価するポイントの中に、保育園児の特性が生かされる場面が多くあります。
- 主体性を持っているか
- 身辺自立が済んでいるか
- 他者と仲良くできるか(思いやりはあるか)
- 子どもらしさを持っているか
学校側は、ペーパー試験だけでなく上記のポイントを重視するため、主体性や協調性が身に付きやすい保育園は有利な面もあるといえます。
小学校受験における保育園のメリット・デメリット
保育園に通園しながら小学校受験の準備をするメリット・デメリットを解説します。
メリット①主体性や自立心が身につきやすい
保育園は小学校受験に必要な主体性や自立心が育ちやすい環境です。
自由遊びが多い保育園は、「自分で決める」「自分で工夫する」「困ったときはお友達や先生と相談する」といった主体的な活動を日常的におこないます。
とくに受験生面接では、自分の考えを明確に持ち、相手に伝える力が必要です。大人が用意した答えを話してしまうと、学校側にはすぐに分かってしまいますし、深い質問には答えられません。
保育園では自分の考えを持つ習慣ができるため、面接で自分らしさを発揮しやすくなります。
また、主体的な活動が多いと、「縄跳びが得意」「折り紙が得意」と特定のものに強みを持ちやすく、運動考査や巧緻性考査に必要な能力が自然と培われます。
主体性や自立心は一朝一夕に身につくものではないため、小さな頃から少しずつ育てられる保育園の環境は、小学校受験において有利です。
メリット②社会性・コミュニケーション力が身につきやすい
保育園では社会性やコミュニケーション力が育まれ、「行動観察」の基礎が身につきます。
行動観察は、数名のお友達とゲームや共同作業を通して協調性や指示行動を評価する、小学校受験において多くの学校が重視する試験です。
保育園では、様々な職業の保護者や多様な価値観を持った家庭の子と過ごします。また、保育時間が長いため、お友達と深い付き合いをするなかで協調性やコミュニケーション力が身についていきます。
保育園は、自分の主張をする・相手の話を聞く・意見をまとめるといった行動観察の取り組みを日常的におこなえる環境です。
メリット③体力が育ちやすい
保育園は、遊びの時間が多いため、小学校受験で重要な体力がつきやすいメリットがあります。
体力というと運動のイメージが強いですが、小学校受験に必要な座って静かに取り組む力・集中力を持続させる力・問題を解く力には、子どもの体力が大きく影響しています。
「最初は姿勢正しく座れるのに途中からくずれてしまう」
「本当はもっとできるのに、力を出せていない」
こういった子どもの様子を見て悩む保護者の方は少なくありません。しかし、子どもにやる気がないのではなく、体力的に難しい点を考慮する必要があります。
体力がないとベストな状態で考査を受けられないので、基礎体力がつく保育園の生活は小学校受験に有利といえます。
デメリット①勉強時間の確保が難しい
保育園児の小学校受験において、勉強時間がとれず悩む保護者の方は少なくありません。
とくに年長児になると、1日のなかで最低でも30分〜1時間は受験対策に取り組む必要があります。
朝は7時30分に登園し、帰宅は18時といった生活スタイルの場合、日常生活をこなすだけで時間が過ぎ、小学校受験対策をする時間がなかなかとれません。
以下のスケジュールのように、隙間時間をうまく活用したり、意識的に時間をつくったりする必要があります。
スケジュール例
起床後:母親とペーパー(10~15分)
登園中:しりとり・季節の草花の観察
帰宅中:スキップやケンケンパ
帰宅後:父親と絵画1枚・ペーパー・折り紙(15~30分)
入浴中:しりとり・口頭で数量の問題
寝る前:読み聞かせしながらお話の記憶の問題・面接練習
「時間ができたときに勉強する」のではなく、短い時間でも家庭学習を毎日の生活のリズムに組み込むと効果的です。
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デメリット②保護者の負担感が大きい
仕事の問題を抱えながら、受験対策や願書・面接対策を同時並行で対応するのは、保護者にとって大きな負担です。
弟や妹がいる・妊娠中などの事情が加わると、受験対策が思うように進まない可能性もあります。
夫婦どちらかに負担が偏る傾向があるため、家族間や祖父母の協力体勢を整えたり、シッターなど外部の業者をうまく活用したりする必要があります。
保護者の体力的・精神的にも負担が大きい点が、保育園児の小学校受験における大きな課題といえるでしょう。
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デメリット③座って学ぶ習慣をつける必要がある
保育園の方針によっては、机上での学習習慣が身につきにくいデメリットがあります。
小学校受験は、ペーパー・工作・巧緻性・絵画など机上でおこなう試験が複数あり、それぞれ15〜30分程度の制限時間で実施されます。
座って学習する習慣がない子どもは、少なくとも30分以上は静かに座り、集中できるように準備しなくてはいけません。
最初のうちは、数十分座っていることに慣れない子もいますが、少しずつ練習を重ね、座る時間を長くしていきましょう。
受験のためだけでなく、小学校入学後に45分間の授業をしっかり聞くための大切な準備にもなります。
小学校受験に強い保育園を選ぶポイント

小学校受験を前提とした保育園選びのポイントについて解説します。
小学校受験をする子どもがいる
小学校受験を視野に入れて保育園を選ぶ際は、「小学校受験をする家庭が通っているかどうか」も大切なポイントです。
保育園側が小学校受験に理解を示していると、行事や生活面でも柔軟に対応してくれる可能性があるため、保護者にとっても心強い環境といえます。
また、保護者も教育熱心である可能性が高いため、評判の良い幼児教室や、受験に関する情報収集が可能な場合があります。
園によっては、合格実績を掲示している場合もあるので、園見学の際にチェックしてみましょう。
季節の行事やイベントを大切にしている
小学校受験では、机上の学習だけでなく「実体験」が大切です。
端午の節句、スイカ割り、運動会、お芋ほり遠足といった行事やイベント体験を通して、子どもは自分の思いを言葉や絵で表現する力を身につけます。また、理科的常識や季節や野菜の名前などの生活常識を自然と学ぶ機会となります。
こういった学びは、小学校受験における面接や絵画対策となるほか、ペーパー問題の理解に重要です。
季節感やイベントを大切にする保育園は、子どもの興味関心を広げながら、小学校受験の準備にもなる環境といえます。
受験に対応した認可外保育園も検討する
小学校受験に対応した認可外保育園を選択肢に入れるのも良いでしょう。
小学校受験へのサポート体制が整った認可外保育園であれば、保育時間中に受験対策をおこなうため、時間のない共働き家庭の強い味方となります。
大手幼児教室の伸芽会が運営する伸芽’sクラブが有名ですが、ほかにも受験指導に強みを持つ認可外保育園が存在します。
一般的な保育園より費用が高い場合が多いですが、日中の時間を有効に使えるため、共働き家庭にとって安心できる選択肢といえるでしょう。
宗教の有無は慎重に考える
特定の宗教に基づく保育園に通園する場合は、小学校受験時に対策が必要となる可能性があります。
- 仏教の保育園からキリスト教の小学校を受験
- キリスト教の保育園から仏教の小学校を受験
こういった受験の場合、合否に直接関わりはないものの、宗教が違う小学校を受験する理由や宗教への考えを確認されるケースがあります。
宗教校は、宗教に対し家庭に理解があるかを重要視するためです。
多くの場合は、理由や考えを説明できれば問題にはなりません。しかし、受験校が決まっているのであれば、仏教系の保育園から仏教系の小学校を受験するといったように宗教を揃えると、学校側に好印象を与えられます。
共働き家庭の小学校受験対策で注意したいこと
共働き家庭の小学校受験対策で注意すべき点を解説します。
丁寧さを教える
受験で求められる「丁寧さ」や「物の正しい持ち方や使い方」、「落ち着いた所作」は家庭で補う必要があります。
たとえば保育園で工作が得意と言われていても、
- 線の上をまっすぐ切れない
- のりがはみ出ている
- 机の上が散乱している
といった点は指導されない可能性があるため、家庭では丁寧さを意識して指導しましょう。
また、大人との会話や自分の考えを話すのが得意だとしても、面接対策が不要とはいえません。
敬語での話し方や、目を見て会話する、もじもじしない、挨拶をしてからお辞儀する、人の前を通らないなど、所作を細かく教える必要があります。
早起きなどで勉強時間を確保する
共働き家庭にとって、小学校受験の準備で最も悩ましいのが「勉強時間の確保」です。
小学校受験対策は一朝一夕にはおこなえず、日々の積み重ねが大切です。そのため、忙しい毎日のなかでも学習時間をきちんと確保しなくてはいけません。
時間をうまく使っている家庭は、以下の方法でやりくりしています。
- 隙間時間に学習する(移動中や入浴中など)
- 朝15~30分早起きする
- フレックス制度を利用する
- 家事代行サービスを利用する
- 家庭教師をお願いする
家庭の努力に限界がある場合は、会社の制度や外部サービスを積極的に利用し、「学習時間の確保」と「効率のよい学習」ができるようにしましょう。
休日は家族で過ごす
小学校受験を考える共働き家庭では、休日は家族で過ごす時間を大切にする意識も必要です。
面接では「お父様(お母様)とは何をして遊びますか」といった質問がされる場合もあり、日頃の家族のコミュニケーションが問われます。
たとえば次のような時間が、受験にもつながる良い経験になります。
- キャンプや果物狩りなどの自然体験
- 子どもの興味に沿ったお出かけ(動物園や博物館)
- 虫とりや飼育
- 近場の公園で一緒に遊ぶ
- お家でボードゲームなど遊ぶ
必ずしも、遠出や旅行をする必要はありません。
家族との触れあいは、子どもの安心感や自己肯定感につながり、不安定になりがちな受験期の心の支えにもなります。
特別な外出でなくても「家族で過ごす時間」を意識的に作り、家族の絆を深めましょう。
面接対策を意識する
小学校受験では、受験生だけでなく保護者への面接も重要な要素です。
とくに共働き家庭の場合、学校側は仕事との両立や学校への関わりを丁寧に確認する傾向があります。
- 「急なお迎えにはどなたが対応しますか?」
- 「子供が学校に行きたくないと言ったらどうしますか?」
- 「学校行事や保護者会で来校する機会が多いのですが大丈夫ですか?」
こういった質問で、入学後に子どもが無理なく学校生活を送れるか、また学校と協力しながら子どもの成長を支えられる家庭かどうかを見極めています。
入学後の生活を具体的にイメージし、家庭としてどのようなサポート体制を整えられるかを整理しておきましょう。
保育園児の小学校受験でよくある質問

保育園に通いながらの小学校受験について、よくある質問をみていきましょう。
保育園は小学校受験に不利ですか?
保育園への在籍自体が小学校受験に不利になることはありません。
多様な背景を持つ子どもが集まり、それぞれ主体的に過ごす保育園では、協調性や主体性が育ちやすいため、行動観察や面接において有利ともいえます。
共働きで忙しいと学習時間の確保において不利な面があるものの、保育園に通いながら小学校受験に挑む家庭は少なくありません。
また、共働き家庭の受験では、面接で入学後の子どもへのサポートや学校への協力の姿勢を問われる可能性があります。
これは共働き家庭に否定的なのではなく、多忙ななかでも子どもの成長を支え、学校と連携していけるかを知りたいという学校の意図によるものです。
入学後の生活について具体的にイメージし、家庭でどのように時間を工夫して関わるか、夫婦でどのように協力していくかを考えておく必要があります。
小学校受験の幼児教室はいつから通わせるべき?
私立難関校を志望する場合は、新年中クラス(年少組の秋)からの通室が一般的です。
小さな頃から小学校受験を決め、本格的に受験対策をする場合だと、年少クラスまたは年少下クラスから通室するケースも少なくありません。
子どもの適性や家庭での取り組み方、志望校によっては、年長の春または夏からの通室でも合格する可能性がありますが、基本的には1〜2年の準備期間が必要です。
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保育園児の小学校受験まとめ
保育園に通いながらの小学校受験は、有利な面と不利な面があります。
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一方で、学習時間の確保が難しい点や保護者の負担が重くなる点に注意が必要です。
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