
・九九を完璧にマスターする
・答えの「だいたいの大きさ」をイメージする
・計算手順がスムーズにできるまで練習を繰り返す
の3点です。
割り算の筆算は、足し算、引き算、掛け算の筆算とは異なり、大きい桁から計算するのが特徴。
特にあまりのある割り算では、頭の中で九九を暗算しつつ、答えの「大体の大きさ」の見当をつけながら計算を進めます。
この「大体の大きさ」をつける癖は、高学年で学習する「割合」や「単位量あたりの大きさ」といったつまずきやすい単元の学習にも有効です。
本記事では「あまりのある割り算」や「割り算の筆算」でのつまずきポイントや、苦手克服法を詳しく解説しています。
ぜひ最後までお読みください。
まずは割り算の意味・しくみを理解しよう
割り算の筆算のやり方を理解する前に、「割り算とは何か? 割り算とはどのようなしくみなのか?」を理解していきましょう。
割り算には包含除と等分除の2つの意味があります。
包含除とは?
包含除とは、全体量を一定の単位量で分けた時に何グループできるかを求める割り算の方法です。
例えば、「12個のあめを1人に3個ずつ分けて何人に分けられるか」というように「いくつ分」を求める問題が包含除です。
12個のあめを3個ずつ配ることを式に表すと12÷3(=4で4人に配れる)という式になります。
等分除とは?
一方、等分除とは、全体量を等しく分ける際に1つの部分の量を求める割り算の方法です。
例えば、「12個のあめを3人に同じ数ずつ分けて一人何個になるか」というように「一人分」を求める問題です。
この問題の場合も、12個のあめを3人ずつに分けるので12÷3(=4で4個ずつ配れる)という式になります。
等分除の方が割り算のイメージに近いのではないでしょうか?
この包含除と等分除の2種類の割り算の意味を知っておくと、問題文から「何を求めればよいか」を捉えやすくなり、文章問題から式をたてる時に役立ちます。
割り算は掛け算の逆算
小学校3年生では、割り算は掛け算の逆算であることを学習します。
実は、包含除と等分除では違いがここにもあります。
「12個のあめを1人に3個ずつ分けて何人に分けられるか」という包含除の問題は12÷3で求められますが、これは3×▢=12の▢を求めることと同じです。
この▢は掛け算の言葉で「いくつ分の数」の部分です。
一方、「12個のあめを3人に同じ数ずつ分けて一人何個になるか」という等分除の問題も12÷3で求められますが、これは▢×3=12の▢を求めています。
この▢は掛け算の言葉で「一つ分の数」の部分です。
どちらも12÷3で求められ、割り算は掛け算の逆算であることがわかりますが、求めている部分が異なります。
この包含除と等分除の違いを理解すると、小学校中学年以降の算数につまずきにくくなります。
特に高学年算数の大きな関門が、「割合」や「単位量あたりの大きさ」。
つまずくお子さんが非常に多いこれらの単元では、「割られる数(被除数)」と「割る数(除数)」の区別がつかないことがつまずきの原因になります。
先の問題でいえば、12÷3ではなく、3÷12としてしまうのです。
あまりのある割り算ができない理由
ここからはあまりのある割り算をお子さんがなぜできないのか?
割り算でつまずきやすいポイントを解説していきます。
掛け算九九ができない
割り算ができない原因で一番多いのが、九九(くく)ができないことです。
割り算は掛け算の逆算ですので、掛け算ができなければ割り算はできません。
それだけ小学校2年生の掛け算は重要な学習です。
特に割り算の筆算過程には掛け算がいくつも含まれています。
九九が完璧に身に付いていないせいで、苦戦しているお子さんは多いです。
ここでいう完璧は「三一が3、三二が6・・・」と順番に九九を唱えられることではありません。
ランダムに九九が答えられることをいいます。
例えば97÷2を筆算で計算する場合、「二一が2、二二が4・・・」ではなく、瞬時に「二四が8」と出てこなければ、計算に時間がかかってしまいます。
ぜひ、お子さんが掛け算九九をランダムで唱えられるように見守ってほしいです。
割り算の筆算の手順に慣れていない
割り算は足し算、引き算、掛け算と異なる点が主に2つあります。
一つ目は「式の形」です。
足し算、引き算、掛け算は記号が異なるだけで形は同じなのに対し、割り算はこの3つと大きく異なる形に。
この式の形にまずは慣れることが重要です。
二つ目は「計算の順序」です。
足し算、引き算、掛け算の筆算は一の位から答えを入れていくのに対し、割り算の筆算は大きい数から答えを入れていきます。
お子さんからすると「何で大きい位から答えを??」と戸惑いが大きいのです。
このようなお子さんの戸惑いを共感的に受け止めながら、学習を見ていきましょう。
数字が大きい割り算は計算ミスが起こりやすい
割り算の筆算には「たてる・かける・ひく・おろす」という4つの過程があります。
数字が大きくなると、この4つの過程を繰り返すために計算ミスが起こりやすくなります。
「商(割り算の答え)」の間違いに加えて、「あまり」の間違いも割り算には加わります。
また、割り算は「これくらいの数かな?」と見当をつけながら計算する力が重要です。
しかし、大きい数の割り算になると見当が難しくなります。
例えば、966÷28。
大人でも一見して「面倒だな」と思いますよね(笑)
3桁÷2桁になると計算ミスも起こりやすいです。
ちなみに966÷28の答えは34.5ですが、「あまりも求めなさい」という指示が問題文にあると「34あまり14」という答えになります。
問われ方により答えが2パターンあるのも割り算の難しさです。
割り算ができるようになる方法
ここからは割り算ができるようになる方法を具体的に解説していきます。
お子さんの状況に合わせて取り入れてみてください。
九九(くく)を完璧にマスターする
割り算ができるようになるためには九九のマスターは不可欠です。
九九をマスターすれば以下の2つの割り算は確実に攻略できます。
12÷3、49÷7などの式は、九九を使って掛け算の逆算で答えを求められます。
12÷3=4 3×▢=12
49÷7=7 7×▢=49
次に、13÷3、38÷6のような式は九九一回であまりがある式です。
13÷3=4あまり1
38÷6=6あまり2
これらの九九を一回使って答えられる割り算をまずはできるようにしていきましょう。
「あまりがある」を図で説明する
次にあまりのある割り算です。
式を物や図でイメージできるようになると、計算をイメージしやすくなり、正しい答えにたどり着きやすくなります。
低学年では、おはじきやブロックを操作して算数を学習してきたと思います。
割り算でも同じです。
割り算を図で説明し、「あまりがある」ことを見えるようにすると、以下の理解が深まります。
・包含除と等分除の違い
・あまりは除数よりも小さくすること
・割り算は引き算でできること
・割り算は掛け算の逆算であること
13÷3=4あまり1ですが、図に表すと以下のようになり、13から4個ずつ引いていることと、1個あまることがよくわかります。
また、答えを4ではなく3にした場合、あまりが4となり、まだりんごを1個ずつ配れることがわかります。
あまりは割る数より小さくすることが理解できないお子さんには、目で見てわかるように図で説明するとよいです。
このように、数が小さい割り算のうちに図で割り算のしくみと筆算の両方を合わせて理解しておくと、あまりのある割り算につまずきにくくなります。
また、大きい数の割り算になった際にも図を書くと正しい理解へとつながります。
学年が上がるにつれて学習は進んでいきますが、算数は下の学年での学びが土台となり新しい内容が積み上がっていきます。
だからこそ、算数は復習が大切です。
思い切って下の学年の学びを掘り起こすこともしてみましょう。
『だいたいの答え』を見つける
割り算をスムーズに正確に解くためには、答え(商)の見当をつけること、つまり大体の答えを見つけることが重要です。
九九ができても、適切な商をたてる力が不足しているお子さんは少なくありません。
大体の答えをを見つけるには数を様々な見方でみる必要があります。
75÷3という式を例にすると、割られる数の75を「70と5」や「60と15」というように様々な見方で75をみていきます。
そして、「70の中には3は23個は入る、5の中に3は1個だから24ぐらいかな?」「60の中には3が20個は入る、15の中には3は5個入るから25ぐらいかな?」と、答えに近い大体の数を見つけていきます。
98÷23のように割られる数も割る数も2桁の場合でも、「98を100、23を25とみて大体の答えは4ではないか?」と見当をつけることができます。
少し難易度は高いですが、数を様々な見方で捉える力は算数の学習でとても重要です。
「大体これくらいだろう」という見当がつけられるようになると割り算がグッと簡単になります。
小さい数で、簡単な割り算から慣れる
小学校中学年で学習する割り算のパターンを5つに分類した場合、以下のパターンに分けられます。
①12÷3(九九が一回で割り切れる)
②13÷3(九九が一回であまりあり)
③84÷4 69÷3(九九二回で割り切れる)
④72÷5 962÷7(割る数が1桁、九九複数であまりあり)
⑤98÷23 259÷21(割る数が2桁)
※①②③は小3、④⑤は小4で学習します。
ここからは、①〜⑤のそれぞれのパターンでつまずきやすいポイントを解説していきます。
スモールステップで攻略し、割り算にお子さんが慣れていけるようにしましょう。
まず、①と②は九九をマスターすればできる範囲です。
②のパターンは九九でできる範囲ですが、「あまりのある割り算」です。
本来九九ですぐに答えが出る割り算では筆算を使いませんが、もし大きな数の筆算でつまずいてしまった場合には、こうした小さな数の筆算に戻って練習してみましょう。
「あまりのある割り算」での最初のつまずきは、「引き算の計算ミス」です。
九九で商(答え)を出せても、その後の引き算で計算をミスをし、正しいあまりを求められない場合があります。
引き算を苦手としているお子さんは、2桁以上の引き算の復習が必要です。
また、「あまりは割る数(除数)より小さくする」という点もつまずく可能性がかなり高いポイントです。
下の図のように、あまりが割る数よりも大きく、まだ割り切れる計算をしてしまうお子さんも多いです。
お子さんが答えの見当をつけられない場合は、まだ数字が小さい段階で、先ほど解説した「あまりがある」を図で説明してあげたり、大体の答えを見つけることを教えていくとよいです。
数字が大きい割り算で苦労しないように、早めに解決しましょう。
③のパターンの割り算では、答えが2桁になります。
これは、答えが九九にある数字を越えた数になる、というのがこれまでの割り算とは違う点。
つまり九九を何度も繰り返しながら計算します。
③の割り算でつまずきやすいポイントは「大きい位の数から計算する」です。
足し算、引き算、掛け算では小さい数から計算しているため、大きい位の数から割り算は計算することをここでは押さえましょう。
「69の6から」「84の8から」というように、割られる数の1番左から計算していくようにお子さんに教えていきましょう。
④の962÷4は、九九を複数使ってあまりがある割り算です。
この段階の問題は、①〜③のパターンにあるつまずきポイントをクリアしてすることが重要であり、④の割り算ができるようになるとほぼ割り算を攻略しているレベルになります。
すなわち、「掛け算九九をマスターする」「大きい位の数から計算する」「引き算の計算ミスをしない」「あまりは割る数(除数)より小さくする」を確実に押さえられているレベルです。
最後に⑤の割る数が2桁のパターンです。
この段階では、「2桁以上の掛け算ができること」も重要なポイントになってきます。
掛け算が苦手なお子さんは、九九にプラスして2桁以上の掛け算の復習が重要です。
そして、⑤の割り算でつまずきやすいポイントは2つです。
一つ目は「割る数(除数)が割られる数(被除数)より大きい場合は割り算できないこと」です。
259÷21の筆算では、最初に259の2、つまり百の位から計算をします。
しかし、2÷21はできませんので、百の位に答えはありません。
十のくらいに移って計算を続ける必要がありますが、ここで混乱してしまうお子さんが実際には多いのです。
二つ目のつまずきやすいポイントは、やはり「あまりは割る数(除数)より小さくする」です。
一の位には2を答えにするのが正しいのですが、1や3を答えにしようとするお子さんもいます。
2ではなく1をたてると、下の図のように出てきたあまりが割る数(除数)より大きくなります。
つまり、まだ割れる状態になります。
一方、2ではなく3をたてると49ー63をすることになり下の図のように、答え(あまり)が出せない状況になります。
「あまりは割る数より小さくすること」というつまずきは、割り算の最難関ポイント。
答えの見当をつける力がとても重要になるので、繰り返し計算を解き、見当をつけてスムーズに計算できるように心がけて教えてください。
また、お子さんがどのポイントでつまずきやすいかを見極め、場合によっては①や②のパターンに戻り、一つ一つの計算過程を丁寧に確認していきましょう。
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