
九九を身に付けないと、桁が増えた掛け算や小数や分数の計算で苦労することになります。
九九の教え方・覚え方のポイントは次の3点です。
①子どもの興味関心が高い方法で覚える
②一つの方法だけでなく、複数の方法を組み合わせる
③お子さんは「耳から覚えるタイプ」「目から覚えるタイプ」かを見極める
九九を覚えるには反復練習が基本です。
ただ子どもは反復が基本的には苦手です。
そのため、お子さんの特性や興味関心に合わせた方法、ゲーム性の要素を取り入れた方法など、飽きを生まない工夫が必要です。
また、耳から覚えるタイプのお子さんもいれば、目から覚えるタイプのお子さんもいます。
より多くの方法を知り、お子さんに合う教え方・覚え方を見つけていきましょう。
九九が覚えられない原因
九九が覚えられない原因はいくつかあります。
まずは、お子さんがどの部分でつまずいているかを確認しましょう。
覚える量が多い
九九は全部で81個あります。
これは小2のお子さんにとってはかなりハードルが高いです。
「81個を全て覚える」のではなく、掛け算の特性に気付き、効率的な覚え方を工夫する必要があります。
例えば、3×6と6×3の答えは同じ18です。
九九の全ての答えは、掛けられる数と掛ける数を入れかえてできています。
また、7×7の答えが出てこない場合、7×6に7を足すという考え方も大切な考え方です。
実際に小学校では、掛け算を足し算の延長として学習します。
こうした掛け算の特性に気付かせながら、効率的に九九を覚えていけるとよいでしょう。
九九特有の言い回し
ひらがなを覚えたてのお子さんにはなじみがない言い回しが、九九にはいくつかあります。
1の段の1は「いん」と読み、8は「はち」「は」「ぱ」と複数の読み方が散在していて、お子さんを悩ませます。
「さざんが9」「さぶろく18」といった呪文のような言い方もあり、九九特有の言い回しがあることを最初に押さえておく必要があります。
7の「し」や「しち」の聞き分けも難しく、ひらがなの読みが危ういお子さんはキャパオーバーになる可能性があります。
音だけで覚えるのではなく、九九に読み方(ルビ)を付け、目から読み方を理解することも大切です。
数が大きくなると難しい
九九に限りませんが、計算の数が大きくなるとお子さんは難しさを感じます。
九九の場合は6の段から上の段になると難易度があがります。
それは桁の繰り上がりが増えるからです。
1の段では繰り上がりはありませんが、9の段になると繰り上がりが常に発生します。
100までの数の読み方や大きさを理解したり、足し算の繰り上がりを理解したりといった小学校1年生の学習が掛け算九九の土台になることを親御さんもお子さんも意識しましょう。
家庭でもできる九九の覚え方
ここからは、家庭でもできる九九の覚え方を紹介します。
ポイントは2つ。
1つ目は、お子さんは聴覚で覚えるのが得意か、視覚で覚えるのが得意かを確認することです。
耳で音から覚えるのが得意な子もいれば、目で見て覚えるのが向いている子もいます。
お子さんの特性に合った方法で九九に慣れていきましょう。
2つ目は、インプット(覚える)とアウトプット(思い出す)を分けることです。
最終目標であろう「九九の暗唱」は、頭にインプットした九九をアウトプットしています。
いきなりアウトプット(暗唱)から取り組むのではなく、まずはインプット。
覚えることに重きを置いてみましょう。
①音読で覚える
教科書にある式と読みを確かめながら九九を音読します。
正確な読み方をここでは押さえましょう。
毎日決まった時間に決まった回数に取り組めるとよいですね。
②九九表(アレイ図)を見て覚える
九九表を見ながら覚えるのは、視覚的に理解したいタイプのお子さんに有効です。
掛けられる数と掛ける数を指差しながら九九を音読していきましょう。
九九表やアレイ図は、掛け算の意味も確認できるのでおすすめです。
③歌で覚える
耳で覚えるタイプのお子さんには歌がおすすめです。
九九の歌はたくさんあります。
お子さんが興味をもった九九の歌で練習してみましょう。
また、歌にはリズムがついているので、体を動かして覚えるのが得意なお子さんに向いています。
④カードや単語帳で覚える
ここからはインプットとアウトプットの両方が交じり合う覚え方です。
親御さんの中には、カード(単語カード)を使って歴史の年号や英語の単語を暗記したことがある人も多いと思います。
このカードは九九にも応用でき、九九カードと呼ばれます。
お子さんが通う小学校の教具(算数セットの1つ)になっていることが多いです。
表には式、裏には答えがある九九カード。
インプットとアウトプットを同時にできる優れものであり、カードをめくる楽しさもお子さんのやる気アップにつながります。
⑤ゲーム(かるた、神経衰弱、しりとり)で覚える
遊び好きなお子さんにはゲーム要素を含めた覚え方も有効です。
九九かるたは、式を読み札、答えを取り札にして遊びます。
九九の神経衰弱は、例えば5の段ならば、3を引いたら、15を狙って引くといったイメージです。
九九しりとりは、3×6=18→8×6=42→2×7=14→4×9=36・・・と答えの一の位をしりとりする方法です。
これらの方法は楽しみながら覚えるメリットがありますが、ある程度九九を覚えてないと難しい側面があります。
九九を順番に暗唱できるようになり、ランダムに九九を答えられるようにしたいときに取り入れるとよいです。
⑥絵本で覚える
お子さんが九九に興味をもつ方法として絵本を紹介します。
絵本好きのお子さんにはとても有効です。
代表的な九九の絵本には、「ににんがし」「九九のほん」「九九をとなえる王子さま」があります。
九九を覚えられない子へ教えるコツ
最後の章では、九九を教えるコツを紹介します。
基本的には、段階を踏んでいくスモールステップで教えていくことが大切です。
お子さんの特性やつまずき具合をよく見極め、それらに応じた教え方をしていきましょう。
①まずは掛け算の意味を教える
小学校では九九の前に掛け算の意味を学習します。
・一つ分×いくつ分
・5個が6つで5×6になる
掛け算の意味を確実に理解してから、九九の練習をしましょう。
「何がいくつ分」を意識するだけで、九九は覚えやすくなります。
また、掛け算の意味は小学校2年生以降の算数でも重要ですので、必ず押さえておきましょう。
②掛け算は足し算の延長線上にある
掛け算の意味と同様に重要なのが、掛け算は足し算の延長ということです。
お子さんは最初、掛け算の答えを求めるのに足し算を使っています。
例えば、「2×3は2が3つ分だから、2 + 2 + 2で6になる」という形です。
しかし、たくさん足し算をするのは大変。
9×9ですと9を9回も足さなければいけません。
お子さんも大変だと感じるはずです。
そこで掛け算が登場するわけです。
「掛け算はたくさんの足し算を簡単にしたもの」「九九は掛け算を簡単にしたもの」と、掛け算のよさ、九九のよさにお子さんが気付けると、「これからの算数に九九は必要なんだ!」と、九九を覚えるモチベーションも高まるでしょう。
また、掛け算が足し算の延長にある考え方は、九九の暗唱にも役立ちます。
「七八(しちは)…」と答えに詰まったとき、「前の答え七七49に7を足して56」と考えるのも、九九を覚えるのに大切な考え方です。
お子さんの暗算力にお悩みの方はこちらの記事もお読みください。
「暗算が苦手な子の特徴とは?暗算が得意になるコツを知りたいです(学び相談室)」
③読み方を知る
九九を最初に覚える段階では、読み方(ルビ)があった方がよいです。
間違った読み方で覚えてしまうと、修正するのが大変です。
また、九九特有の言い方があることを最初に押さえましょう。
④簡単な段と難しい段を見分ける
九九には比較的覚えやすい段と、難しい段があります。
覚えやすい段は2の段と5の段です。
6の段以上になると難易度が高くなります。
段が上がるにつれて答えの繰り上がりが増え、複雑になります。
特に7の段は、発音の難しさも加わり、鬼門とされます。
比較的覚えやすい段から覚え、難しい段は集中的に練習する工夫が必要です。
⑤覚えやすい段から取り組む
比較的覚えやすい2の段と5の段は、「2(に)、4(し)、6(ろ)、8(や)、10(とう)」や、「5、10、15、20・・・」といった数え方があるため、覚えやすいです。
2の段と5の段で、答えが増える感覚や、九九のリズムになれるとよいですね。
⑥順番に言えたらランダムに取り組む
順番に九九を覚えるのが基本ですが、「二一が2、二二が4・・・」と昇順で覚えたら、「二九18、二八16・・・」と降順で覚えていきましょう。
そして、昇順・降順で唱えられたらランダムに九九を答えられるようにします。
九九カードをバラバラに並べて読んだり、親御さんが言う九九に答えたりし、九九の完全マスターを目指していきましょう。
ランダムである程度九九を言えたら、かるたや神経衰弱といったゲームでの学びができます。
「いつでも、どこでも、どんな九九でも」言えるようになると、算数の他の単元(例えば小数の掛け算、倍数、約分など)でも応用できます。
⑦日常会話に九九を入れる
日常的に九九を話題にしてみましょう。
例えば買い物の場面で、「バナナ5本を2房で何本?」「ハンバーグ3個パックを4つ買ったら何個?」と掛け算を話題にし、お子さんが答える機会を作ってみましょう。
九九、掛け算を使って求められる日常の場面は多くあります。
以下の例を参考に、日常に掛け算があふれていることをお子さんに実感させていきたいですね。
・1セットに5回のジャンプを10回繰り返す練習をする。「5×10 = 50回ジャンプする」
・1個200円の鉛筆を4本買う。「200×4 = 800円」
・1チームに7人いて、3チーム作る。「7×3 = 21人の選手」
・1列に5つの椅子を並べ、4列作る。「5×4 = 20脚の椅子」
・1皿に3個ずつの野菜を使って、6皿作る。「3×6 = 18個の野菜」
・1日に3ページずつ本を読む場合、7日で何ページ読めるか。「3×7 = 21ページ」
九九や掛け算が日常で使えることを知ったお子さんは、九九の便利さやよさに気付き、「九九をしっかり覚えよう」とするでしょう。
算数の苦手克服なら「RISU算数」がおすすめ

算数の苦手克服には、算数専用タブレット教材の「RISU算数」がぴったりです。
RISU算数の収録問題は約10000問。
基礎から応用(中学受験・算数オリンピック)まで幅広い問題が出題されます。
また紙での反復練習が苦手お子さんも、タブレットなら学習習慣がしっかり身につきます。
算数が得意になるRISU算数の特徴3つをご紹介します。
特長1:「無学年制」で一人ひとりにピッタリのカリキュラム

RISU算数では無学年制カリキュラムを採用。
学年を超えて先取り学習を進めることも、学年を遡って復習することもタブレット一台で完結します。
またRISU算数ではデータに基づき、お子様の学力に合わせた出題がされるため、難しすぎて勉強が嫌いになってしまうということや、簡単すぎて退屈するということがありません。
飽きることなく次々に問題に取り組むことで、着実に基礎力を固めることができます。
特長2:分かりやすい「解説動画」

RISU算数では、東京大学をはじめとするトップ大学生チューターによる解説動画が大人気。
分からない問題も、解説動画を見てお子さん一人で解決することができます。
また定期的にチューターからの応援メッセージ動画を楽しみにされているお子さんもたくさんいらっしゃいます。
憧れの大学に通うお兄さんお姉さんからのメッセージは、学習へのモチベーションアップに最適です。
RISU算数には他にも、自動採点機能やメールで学習進捗をお知らせする機能など、保護者の方にも嬉しい機能が満載。
共働きや小さいお子さんがいるなど、毎日忙しい親御さんも安心してお子さんの学習を見守ることができます。
特長3:文章問題・図形問題で思考力が身付く

RISU算数には、文章題や図形問題が豊富に収録され、さらに中学入試や算数オリンピック問題など、思考力を試す問題も多く含まれています。
進学塾に通っているお子さんであっても、計算力は高いのに文章を読み取るのが苦手で問われていることを正確に理解できないお子さんや、論理的に考えるのを苦手としているお子さんは多くいます。
RISU算数では、基礎的な計算問題からハイレベルな文章問題まで、算数の学力をバランスよく伸ばすことができます。
九九は算数の基本、確実に覚えよう
小学生の算数では、ほとんどの単元で九九を使います。
ですから、正しい方法で、正しい回数(時間)を練習し、確実に身に付けるようにしましょう。
ただ、他の単元の学習で少しずつ九九を理解し、身に付いていく場合もあります。
例えば、12×3といった二桁×一桁の掛け算をやるうちに九九が身に付いてくる場合です。
算数は積み重ねの教科です。
九九を使う単元が始まる際に、九九の復習を家庭で進んで取り組み、あせらずコツコツと練習を積み重ねていきましょう。
ぜひ、本記事を参考にお子さんの特性や興味関心に合わせて九九の練習をしてみてください。
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お子さんの勉強の参考になる記事がきっと見つかるかと思いますので、ぜひ一度覗いてみてくださいね。