「女子は算数が苦手」というのは本当でしょうか?
中学受験をめざすお子様をお持ちの保護者の方で、「女子は算数が苦手」というイメージに対して不安を持たれている方は多いでしょう。 そこで本記事では、女子は算数が苦手だと思われている理由や、苦手意識を克服する方法などについて徹底解説しました。
一般に、「女子は算数が苦手」とよく言われます。
自分自身でも算数が苦手だと思い込んでいる女子は多いのではないでしょうか。
しかしながら、算数の得手不得手が男女の性差によって決まることはありません。
その根拠として、カーネギーメロン大学のJessica Cantlon教授が率いる研究チームは、機能的MRI(fMRI)を用いて子供の脳の発達について調査を行い、脳の機能や数学能力に男女差はないことを明らかにしています。
そこで本記事では、女子は算数が苦手だと思われている理由や、苦手意識を克服する方法などについて徹底解説しました。
「女子は算数が苦手」だと思われている3つの要因
「女子は算数が苦手」という話はよく耳にするものの、なぜそのようなイメージが浸透しているのか分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで、「女子は算数が苦手」だと思われている3つの要因について解説します。
要因①理系といえば男子というイメージが刷り込まれている
理系といえば男子というイメージがあるため、自然と女子は理系科目が苦手だというイメージが刷り込まれるようになりました。
実際には、算数の得意不得意に性別は関係ありません。
しかし、理系=男子というイメージは、昔から続いてきた強固なものです。
昔は「男性が社会に出て働き、女性が家庭を支える」ことが一般的とされていました。
そのような風潮の中では、男子と比べて、女子が勉強に興味を持つ機会は少なかったのではないでしょうか。
そして、当時の考えが現在にまで引き継がれた結果、「理系は男子がなるもの」というイメージが定着してしまったのです。
今も、男子の方が理系への進学率は高いですが、理系で活躍する女子も増えてきています。
時間が経てば、そのような偏見も無くなっていくでしょう。
要因②「母親が苦手だから自分も苦手でいい」と考えてしまう
前述のような社会風潮の影響もあり、女性であるお母様も算数が苦手だというケースはよくあります。
そうすると、「私も苦手だったのだから娘も同様に苦手でも仕方がない」と思うだけでなく、口に出して言ってしまうことも多くあります。
多くの女性が専業主婦になっていた時代から、女性も自立することが当たり前の時代へと変わりましたので、女性もまた、社会で活躍するための能力を身につける必要があります。
もちろん、社会に出てお金を稼ぐためには、学歴が全てではありません。
しかし、将来の選択肢の幅を広げるという点において、「算数ができる」ことは大きなアドバンテージになるでしょう。
要因③理系職に興味を持つきっかけが少ない
男子はゲームやロボットなどに関心を持つことが多く、将来の夢として開発者やプログラマーといった理系職を挙げるケースも少なくありません。
一方、女子の将来の夢というと、ケーキ屋さんや花屋さんが定番でしょうか。
これらは理系科目とは関連の浅い職業ですから、無理に理系になる必要がありません。
将来の夢と理系科目が結びつかないため、算数を熱心に勉強して理系に進学しよう、という発想に至りにくいのかもしれません。
女子が興味を持ちやすい分野が理系科目と結びつきにくいため、結果として理系に男子が集まり、理系=男子というイメージがついてしまったと考えられます。
「女子は算数が苦手」というイメージをなくす方法
「女子は算数が苦手」という思い込みから離れる
思い込みが与える影響は大きく、女子だから算数ができないと思い込んで算数を遠ざけるうちに、本当に算数が苦手になっていってしまいます。
しかしながら、算数の得意不得意に性別は関係ないため、思い込みから離れて算数を勉強するようにしましょう。
算数のテストで高得点を取ることができなかった時に、「女子だから仕方ない」と諦めるのではなく、ミスや苦手の原因を冷静に分析して次に活かすことが大切です。
「苦手を潰していけば、必ず算数が得意になれる!」という意識を持って日々の勉強に取り組むことができれば、きっと算数の成績は上がっていくでしょう。
日常生活の中で算数を意識する
算数ができるようになるためには、日頃から算数に触れることが大切です。
日常生活の様々な場面で、算数を意識させるようにしましょう。
例えば、買い物でのお金の計算は、日常生活の中で計算力を鍛えるよい機会です。値引きやおつりの計算を問題に出してあげるとよいでしょう。
算数の基礎である計算力は、何度も繰り返し計算することで身につくものです。
普段から算数に触れさせることによって、計算する機会を増やしてあげることが大切です。
目に見える成功体験を通じて自信をつけさせる
算数検定など、実力を客観的に判定してもらえる機会を利用するのもおすすめです。
算数検定では、自分の実力が何年生相当なのか判定することができ、合格者は合格証を受け取ることができます。
このように、勉強の成果が目に見える形で認められれば、自信も身に付くでしょう。
女子は算数が苦手だという思い込みを取り除くためには、成功体験を通じて「算数の得意不得意に性別は関係ない」ということを実感させてあげるのが一番です。
算数が得意な子どもの特徴
そもそも、算数が得意な子どもと算数が苦手な子どもの間には、どのような違いがあるのでしょうか。ここからは、算数が得意な子どもの特徴について解説します。
問題の本質を見抜く力がある
算数が得意な子どもは、問題の本質を見抜く力に長けている傾向にあります。
そのため、問題を解いている途中でつまずいてしまったり、遠回りしていると感じた場合には、別の解法へと思考を切り替えることができます。
また、以前に解いたことがある問題との類似点を見つけることが得意であり、多角的な視点を取り入れて問題に取り組むことができます。
算数の成績が伸び悩んでいる子どもによく見られるのが、遠回りして問題を解いてしまうため、試験時間内に解ききれないというケースです。
しかし、算数が得意な子どもは、様々な解法のパターンから最も効率的な方法を見つけ出し、問題を解くことができるのです。
無駄な作業をしない
算数が得意な子どもは、今行っている計算が本当に必要なのか考える傾向にあり、無駄な作業を省くことができます。
算数は基本的に答えが一つで明確であるため、答えを導き出すためにその計算が本当に必要なのか考えることも重要です。
算数が得意な子どもは、答えを導き出すために必要ない計算に関しては、すぐに無駄だと判断することができるため、結果的に問題を解くスピードを上げることができます。
無駄な作業に時間を取られていると、余計なミスをしてしまう危険性も高まります。
無駄はできるだけ省くようにしましょう。
計算の途中を省かない
無駄を省くことは大切ですが、計算式はしっかり書き残すようにしましょう。
無駄を省くという意味を履き違えてしまい、簡単な計算を暗算で済ませたり、途中式を書き残さない子どもは少なくありません。
しかしながら、単純な計算ミスが命取りになることもあるため、計算ミスを減らすためにも、計算の途中を省かないようにしましょう。
計算ミスのせいで成績が伸び悩んでいる子どもは、次第に「自分は算数ができない」と思い込むようになり、算数に対して苦手意識を持ってしまいます。
「丁寧な計算を心がけたらテストの点数が上がった」というケースも多いため、面倒だと感じても、計算の途中は省かないようにしましょう。
分かるまで考える
算数が苦手な子どもは、難しい問題につまずいた時に、分からないまま放置してしまう傾向にあります。
算数に対する苦手意識から放置している可能性もありますが、分からないからといって放置していては、いつまで経っても理解することができません。
一方、算数が得意な子どもは、難しい問題につまずいても、分かるまであれこれ考えることができます。
自力ではどうしても解決できない場合も、周りの大人にヒントを求めるなどして、なるべく自力で解く努力をします。
分からない問題であっても、最後まであきらめずに解くことが大切であり、その過程で算数学習に必要な論理的思考力を養うことができるのです。
暗算が得意
算数が得意な子どもの大半は暗算が得意であり、計算問題などでは、暗算で答えのおおよその数値を予想することができます。
複雑な計算問題では、途中で間違えてしまうと、答えが大幅に変わってくるため、暗算で目安をつけておくと、答えが間違っていることを知ることが可能です。
算数が苦手な子どもは暗算が苦手なケースが多く、答えの数値が大幅に違っていても気づくことができません。
算数を得意にさせる方法
お子様に算数が得意になってほしいと思っている方は多いでしょう。
そこで、算数を得意にさせる方法について解説します。
公式の原理を理解させる
算数が苦手な子は、公式を使って問題を解く際に、公式の原理をあまり理解していないことが多いです。
なぜその公式が使えるのかを理解していなければ、高い応用力が求められる問題を解くことはできません。
公式を理解するには、図や表などを使って理解することが大切です。
頭の中で考えるより、実際に見ることでイメージがしやすくなります。
また、公式の原理を子どもの口から説明させることも効果的です。
自分で説明することによって、本当に理解できているか確認することができます。
基礎を定着させる
算数は、以前に学んだ知識を組み合わせて新しい単元に取り組む、「積み上げ型」の教科です。
そのため、基礎をしっかり固めることが重要です。
算数の基礎は計算力であり、計算ができなければ、どの問題を解くこともできません。
公式を理解していても、計算ミスをすれば間違った答えを導き出してしまいます。
何度も問題演習を重ね、徐々に計算力を高めていくようにしましょう。
応用問題につまずいてしまう子どもの多くは、基礎的な計算力に問題があるため、行き詰まった際には、基礎から見直してみるとよいでしょう。
算数パズルや算数アプリを活用する
お子様が「算数は難しいもの」と決めつけてしまい、ドリルなどが手についていない様子だとお悩みの保護者の方も多いのではないでしょうか。
そんな時は、算数パズルや算数アプリから算数を始めることで、算数への抵抗感をやわらげることができます。
現在では、ゲーム感覚で算数力を鍛えられる様々な算数パズルや算数アプリが開発されています。
お子様が興味を示してくれる算数パズルや算数アプリを選び、親子で遊んでみましょう。
もちろん、ゲームをすることが成績アップに直結するわけではありませんが、楽しみながら思考力を身につけることができるでしょう。
まとめ
本記事では、「女子は算数が苦手」だと思われている原因や、算数への苦手意識をなくすための方法について徹底解説しました。
算数の得意不得意に性別は関係なく、女子でも算数が得意科目だという人は多くいます。
しかし、「自分は女子だから算数ができないんだ」と思い込んでしまうと、本当に算数が苦手になってしまうため、注意しましょう。
性別によって、この教科は得意でこの教科は苦手ということはありません。
算数や理科に親しみ、理系の世界で活躍している女性はたくさんいます。
「女子は算数が苦手」というイメージに惑わされて、はじめから諦めないことが大切です。