
「そもそも、自宅で算数を教えられるのか不安・・・」
小学生のお子さんを持つ保護者の方なら、どなたもお持ちの悩みでしょう。 そこでこの記事では、算数の自宅学習における具体的な取り組み方について解説します。
目次
算数の自宅学習は必要?
「小学生の勉強なら、学校の授業だけで十分では?」
「中学受験しないので、算数の自宅学習は要らないと思う」
こういった声はよく聞かれます。
しかし算数は積み上げ型の科目。
苦手な単元があると他の単元も分からなくなります。
つまり小さなつまずきを解消できないままやり過ごすことが、算数が苦手になる大きな要因になるのです。
こうした小さなつまずきをなくし算数への苦手意識の芽を早めに摘むには、自宅学習でのフォローが必要です。
小学校の算数は難しくなっている
おうちの方の中には、「自分が小学生の頃は、学校以外で勉強することはなかった」とご自身の小学校時代を振り返る方も多いかもしれません。
しかし2024年現在の小学生が学んでいる算数の学習内容は、おうちの方が学んだ時代よりも量が増え、難易度も上がっています。
理由は小学校教科書の改定により、かつては中学の数学で習っていた内容が、現在では小学3〜6年の算数に移行しているから。
たとえば以前は小学校で体系的に学ぶことがなかったメートル法は、現在では小学3年生から本格的に学び始めるカリキュラムに変更されています。
また長さ・重さ・面積・体積といった単位の分野や、分数・小数などの四則演算の難易度も上昇しました。
これらの教科書改定に伴い、小学校での学習量は3〜4割程度増加しています。
小学校の授業だけでは細やかにフォローできない
公立小学校でも「宿題が多い」と地域で有名な学校も増えているので、宿題をやっていればしっかりと勉強できているように思われるかもしれません。
確かに宿題は、学校で習った内容をブラッシュアップし知識の定着を図るために有効です。
しかし、宿題だけで十分か、と言うとそうではありません。
その理由は2つあります。
- 学校からの宿題に関するフィードバックは期待できない
- 宿題自体が自発的な学習に依存する傾向がある
学習指導内容の増加、レベルアップに伴い、近年小学校の先生方の負担は大幅に増えています。
多くの先生が教科書の内容をすべて伝えることに手一杯で、授業に遅れがちな子をサポートしたくても細やかにフォローできない、といった悩みを抱えています。
当然ながら、提出された宿題においても、内容を先生が細やかにチェックし、苦手な箇所を克服できるよう個別に指導するのは困難です。
またベネッセ教育総合研究所が5年ごとにおこなう学習基本調査によると、回答者の半数が、小学校の宿題は自宅学習や自学ノートの提出のみ、と回答しました。
宿題に依存する自宅学習は、子ども自身が自主的に勉強できないと十分な役割を果たせません。
算数の自宅学習がもたらす5つのメリット
では算数の自宅学習をすると、どんなメリットがあるのでしょうか?
算数の自宅学習には学力の向上が期待できるのはもちろんのこと、今後の学習習慣、さらに子供の心の健やかな成長にも貢献します。
ここでは、5つのメリットを厳選して紹介します。
1:算数の苦手を克服できる
算数は、小学生が嫌いな科目の第1位です。
学研総合研究所が1236名を対象におこなった「小学生の日常に関する調査」によると、回答者のおよそ23%が数学は嫌いと回答しました。
しかし同じ学研総合研究所がおこなった「小学生の日常生活・学習・新型コロナ対策の休校に関する調査」では、およそ25%が算数が一番好きな科目と回答しました。
算数が、好き嫌いや得意不得意が極端に出やすい科目であることがわかります。
算数は、高校や大学受験に際して必須の試験科目です。
小学生のうちから自宅学習でわからない単元を克服すれば、受験における強力な武器になります。
2:自宅学習時間が長いほど成績が良くなる
算数をはじめとする教科について自宅学習する習慣は、気になる成績をよくする効果につながることがわかっています。
ベネッセ教育総合研究所がおこなった第5回学習基本調査によると、自宅学習の時間が長いほど成績が良い傾向があることが明らかになりました。
なおこの傾向は、中学生、高校生でも同様の結果です。
学校の勉強に加えて自宅でも学習する習慣を小学生のうちに身に着けておくことは、成績向上の必須条件です。
3:脳の成長が促進される
自宅学習で算数の問題を解いたり考えたりする頻度が増えると、脳の成長が促進されます。
人は時間の経過とともに、取り入れた情報を忘れていきます。
心理学者のエビングハウスは、20分後には42%、1時間後には56%忘れ、1日後には74%忘れるとしました。
しかし5回復習することで、ほぼ忘れない知識として定着するともしています。
脳の成長が促進されれば、理解力や知識の定着度が高まります。
勉強が分かることで、勉強することを楽しいと思えるようになれば、自主的に自宅学習に取り組めるようになるでしょう。
4:目標達成能力・計画力が育つ

自宅学習を取り入れれば、学校で習っただけでは十分理解できなかったところを明確にし、自分の弱点を把握できるようになります。
さらにどうしたら克服できるのかを考え計画的に取り組めば、目標達成する能力が育つでしょう。
子供が今後歩む長い人生の中で、すぐに克服できる課題より中長期的に取り組まなければならない課題のほうが多いことは、保護者の皆さんも実体験で理解されているのではないでしょうか。
親が子供にしてあげられることは、そう多くありません。
しかし、子供が自分で課題に取り組み克服する力を身につける手助けはできます。
そのひとつが、自宅学習の習慣です。
5:自尊心や有用感が育つ
自宅学習は、子供の自尊心や有用感を育てる有効な手立てであることが、国立教育研究所がおこなった令和5年度報告書で示されています。
主体的・対話的で深い学びや個別最適な学びが、児童生徒の自己有用感等に影響を与えている可能性があるというのです。
ただ残念なことに、集団指導で詰め込み教育にならざるを得ない学校では、主体的・対話的で深い学びや個別最適な学びは難しいのが実情です。
そこで注目したいのが、自宅学習です。
子供の主体性を育みながらときに対話し、知識を深める学習の実践は、まさに家庭での自宅学習が得意とします。
福岡大学の研究では、小学生から中学生にかけて自尊感情と学習意欲や規範意識が低下しやすく、さらに自尊感情の高低は、学習意欲や規範意識に関係していることも指摘されています。
自宅学習は、子供の知能とともに健やかな心を育むために欠かせません。
小学生の平均的な自宅学習時間
ベネッセ教育総合研究所がおこなった第5回学習基本調査によると、学校以外で勉強する時間は小学校高学年の場合、1週間あたり1時間から1時間半という回答がもっとも多く、全体の50%程度を占めました。
2時間以上勉強しているという回答はさらに35%近くにおよんでいます。
逆にほとんど勉強しないという回答は、4%に留まりました。
このことから、小学生の場合学年による違いはあるものの、多くの子どもたちが1日20分程度は自宅学習していることがわかります。
先述のとおり小学生は特に、家庭学習を含め勉強時間が長いほど成績が良い傾向がみられます。
できるだけ長く勉強させた方が、より効果的なのではないかと思う方もいらっしゃるでしょう。
ただし小学生が集中できる時間は「年齢×1分」あるいは「年齢+1分」とされています。
むやみに長時間の学習に取り組ませるより、5分や10分といった短い時間から始めて少しずつ時間を伸ばすように取り組んでください。
算数の自宅学習は小学校何年生から始めるべき?
小学生の自宅学習は、何年生から始めたらよいのでしょうか?
算数の自宅学習は、小学1年生から始めるのが理想です。
先述のとおり小学3年生になると、以前は中学校のカリキュラムだった内容が入ってくるため算数の難易度が急激に上がります。
小学校3年でつかずきを解消できず苦手な単元をそのままにすると、小学4年生くらいから算数の学力差がはっきりと成績になって現れるのです。
では小学3年生から自宅学習を始めればよいかと問われれば、答えはNO。小学1・2年生の段階に苦手な単元があると、3年生になる前に算数に苦手意識を持つ原因になります。
したがって、小学校に入学したらすぐに自宅学習を習慣化し、自宅でも勉強するのが当たり前の環境づくりを目指してください。
まだ学習内容が難しくなる前から自宅学習を習慣化しておけば、苦なく学習に取り組めるようになります。
もしまだ自宅学習の習慣がない場合は、今からでも遅くありません。すぐに自宅学習の習慣を取り入れましょう。
算数の自宅学習の準備3ステップ
「うちの子はすぐに遊んでしまって勉強がはかどらない」
「具体的に何から始めたらいいか分からない」
こうした自宅学習のお悩みをよく聞きます。
算数の自宅学習を習慣化させ学力向上につなげるためには、準備が大切。ここでは、3つのステップで紹介します。
ステップ1:いつどこで勉強する?
いつ、どこで勉強するのかは、学習に集中できるかどうかに関わるポイントです。
自宅学習する場所であれば、自分の部屋で勉強するのか、親の目が届くリビングやダイニングにするのかを決めます。
また時間については、学校から帰ったらすぐに、夕食が終わってから、といったように具体的に設定してください。
継続するためには、環境の整備が重要です。
その日の気分や予定に左右されずに毎日必ず算数の自宅学習に取り組めるよう、具体的なルールを子供と相談しながら決めましょう。
ステップ2:どの科目を勉強する?
自宅学習するなら、算数は外せない科目です。
学研総合研究所「小学生の日常に関する調査」によれば、算数は苦手な人も得意な人ももっとも多い科目です。自宅学習で重点的に算数に取り組めば、算数が好きになります。
自宅学習は、算数から始めましょう。自宅学習の習慣が身についたら、ほかの科目を増やすのがおすすめです。
ステップ3:時間配分を決める

算数の自宅学習の計画を立てる際は、何分勉強し何分休憩するかをあらかじめ決めます。
その日の気分や臨機応変ではいけません。
気分が乗る日もそうではない日も、必ず同じルールで決めたとおりに自宅学習する習慣を身につけることが大切です。
算数の自宅学習の注意点
算数の自宅学習の直近のゴールは、子供が自発的に勉強する習慣を身につけること。
保護者は適度な距離感を保つ、必要なときにはいつでも手助けできるスタンスでいる、といった注意点を忘れないようにしましょう。
近すぎず遠すぎない距離感をキープ
保護者の理想的なスタンスは、人づきあいや小さな子供と接する際の心構えと言われる「大きな耳・優しい目・小さな口」です。
保護者が口出ししすぎると、子供の意欲低下につながります。
しかし完全に子供に任せっきりでは、誘惑に負けて決めたルールを守れなくなることもあるでしょう。
視界の隅で進捗や取り組みの様子を確認しながら可能な限り手伝わないことが、自律性を育てるポイントです。低学年のうちは完全に一人で取り組むのが難しくても、徐々にできるようになります。
ただし子供が困って手助けを求めてきたときは、しっかり話を聞きサポートしてあげてください。
定期的に報告させる仕組みづくり
定期的に理解度を確認することは、中だるみを防ぐほか、苦手な単元を補う学習を実践するために大切です。
1日の終りにその日に取り組んだ内容を報告させると、子供の自発的な取り組みを維持しながら、学習の様子を把握できます。
自宅学習スペースを聖域にする
自宅学習する場所を決めたら、勉強に必要な物以外は置かないでください。
これは、勉強していないときも同様です。いつでも整頓し、すぐに勉強できる環境に整えます。
荷物を退けないと勉強できない状況では、自宅学習が面倒で億劫になります。
またせっかっく学習をスタートしても、視界に物が多いと気が散ってしまい、集中して自宅学習に取り組めません。
子供が自発的に算数の学習を自宅学習できる仕組みづくりには、環境の整備がとても大切です。
算数の自宅学習にピッタリの教材を選ぶ5つのポイント
小学生の算数の問題集は種類が多すぎて、どれを選べばよいのか迷ってしまう。
そうしたお悩みをお持ちのおうちの方は多いでしょう。
はじめての自宅学習であれば、次の5つのポイントに照らし合わせながら問題集を選びましょう。
- 達成感を得やすいもの
- 小学校の教科書に準拠した問題集
- 子供の好み
- 適切な難易度
- 解説が丁寧
1:達成感を得やすいもの
はじめての算数の自宅学習には、一問一答形式や1ページあたりの問題数が少ないものなど、達成感を得やすいものを選びましょう。
最初から分厚い問題集を買うのは、おすすめできません。頑張っても終わらず達成感が感じられないので、自宅学習をつらいと感じる原因になりかねません。
2:小学校の教科書に準拠した問題集
教科書準拠品とは、普段使っている教科書の内容に準拠して作られた問題集のことです。
子供が学校で使っている教科書の内容を参考にして作られている問題集を選べば、教科書の参照ページが記載されています。授業のペースに合わせて勉強できることに加えて、わからないことがあったときにすぐに教科書で調べられるのが魅力です。
3:子供の好み
はじめての算数の自宅学習用問題集なら、子供の好きなイラストやデザインを選びましょう。
問題集を開くのが楽しくなり、自宅学習を楽しい経験にできます。
勉強した単元毎にシールを貼れる問題集もおすすめです。努力の足跡を目視できるので達成感につながります。
4:適切な難易度
問題集は、難しすぎずやさしすぎないものを選びます。
難易度が高すぎる問題集では、わからないことばかりで苦手な部分を克服する前に、算数は苦手だと感じるでしょう。
だからといって簡単すぎる問題集では、算数の力が身につきません。
最初は少し難易度を下げた問題集を選び、子供の様子に合わせて難易度を上げていくのが理想です。
5:解説が丁寧
自宅学習用の問題集では、解説が丁寧に為されているものを選んでください。
自宅学習で大切なのは、間違えたところやわかっていないところをクリアにすることです。
丁寧に解説してある問題集を選べば、答え合わせした際にわからないところについて理解を深められます。
保護者も小学生の算数の内容は、忘れている部分があるかもしれません。
そんなときも、解説が丁寧な問題集を選べば安心です。
保護者が解説文を読み噛み砕いて説明すれば、子供の励みになります。
算数の自宅学習におすすめな問題集3選

短い時間でできる、おすすめの算数の問題集を教えてほしい、というお声もよく届きます。
はじめての自宅学習用に最適な、短い時間で集中して取り組みやすい算数の問題集を紹介します。
いずれも全学年対応で、教科書で学ぶ基本的な内容を強化する問題集です。
1:教科書ドリル
教科書ドリルの名前のとおり、教科書で習うレベルを中心に構成された問題集です。
国語と算数は、教科書に準拠しています。
A5サイズとコンパクトな冊子で、1回あたり10分で問題が解けます。
学校の予習復習にピッタリな問題集です。
2:早ね早おき 朝5分ドリル
早ね早おき 朝5分ドリルは、文字通り5分程度で終わるように作られた問題集です。
はじめて自宅学習に取り組む子供に向けて、学習習慣を定着させやすいボリュームに作られています。
一般的な問題集に比べて問題の量が少なく難易度も低めに設定してあるので、毎日勉強する習慣を身につけるのに最適です。
3:できるがふえるドリル
できるがふえるドリルは、ノートサイズで書き込みやすい問題集です。1ページずつ切り離せるので、自宅学習を重ねるほど残りのページ数が少なくなり、達成感を感じられます。
挿絵が多く、はじめての問題集にぴったりです。また勉強のポイントや豆知識といった読み物が豊富で、学ぶ楽しさを体験できます。
「小学生の通信教育教材おすすめランキング10選丨学習しやすいものを徹底比較」
算数を得意にするなら「RISU算数」がおすすめ

算数の苦手克服には、算数専用タブレット教材の「RISU算数(幼児には「RISUきっず」)」がぴったりです。
特長1:「無学年制」で一人ひとりにピッタリのカリキュラム

RISU算数では無学年制カリキュラムを採用。
学年を超えてどんどん先取り学習を進めることも、
つまずいた分野で学年を遡って復習することもタブレット一台で完結します。
またRISU算数ではデータに基づき、お子様の学力に合わせた出題がなされるため、
難しすぎて勉強が嫌いになってしまうということや、簡単すぎて退屈するということもありません。
つまり、解き甲斐があり楽しい問題がつづくため学習習慣が自然に身につき、着実に基礎力を固めることができるのです。
特長2:文章問題・図形問題で思考力が身に付く

RISU算数には、図形問題や文章問題など幅広いレベルの問題が収録されており、
中学入試や算数オリンピック問題など、思考力を試す問題も多く含まれています。
進学塾に通っているお子さんであっても、
計算力は高いのに文章を読み取るのが苦手で問われていることを正確に理解できないお子さんや、論理的に考えるのを苦手としているお子さんは多くいます。
RISU算数では、基礎的な計算問題からハイレベルな文章問題まで、算数の学力をバランスよく伸ばすことができます。
特長3:分かりやすい「解説動画」

RISU算数では、東京大学をはじめとするトップ大学生チューターによる解説動画が大人気。
分からない問題も、解説動画を見てお子さん一人で解決することができます。
また定期的にチューターからの応援メッセージ動画を楽しみにされているお子さんもたくさんいらっしゃいます。
憧れの大学に通うお兄さんお姉さんからのメッセージは、学習へのモチベーションアップに最適です。
他にも、自動採点機能やメールで学習進捗をお知らせする機能など、保護者の方にも嬉しい機能が満載。
共働きや小さいお子さんがいるなど、毎日忙しい親御さんも安心してお子さんの学習を見守ることができます。
まとめ
算数の自宅学習の習慣を身につけることは、子供の学力向上に加えて生活習慣を整え健やかな心の成長を促進する効果につながります。
小学生のうちに自宅学習の習慣を身につけることは、成長する過程において大きな財産となります。子供は時には転び、道草もします。保護者は忍耐力が試されるシーンが多く、ヒヤヒヤするでしょう。それでも子供を信じて見守りながらサポートすることが、かけがえのない親子の絆になります。