ただ注意していただきたいのは、難しいプログラミング言語を学んでプログラマーを育てるのが目的ではないという点です。
入学前の特別な準備は必要ありません。
しかしプログラミング的思考を身につけるためには、算数と国語の基礎学力が重要です。
わかりやすい文章を書いたり、話したりするには論理的思考が大切ですし、算数の計算順序や数学の証明は、まさしく論理的思考力と問題解決力が問われています。
今回の記事では、小学校でのプログラミング教育の実態や、プログラミング教育と算数との関係を詳しく解説しています。
最後まで読んでいただき、プログラミング教育に備えてください。
小学校のプログラミング教育はいつ何を学ぶ?
プログラミング教育は何年生から始まるのでしょうか?
全学年対象だが小3以降から
プログラミング教育は小学校の全学年を対象にしています。
しかし、1・2年生で取り組む学校は少なく、思考力が大きく育ち始める3・4年生から取り組む学校が多いようです。
プログラミング教育という教科ができたわけではなく、算数や理科などの各教科の中でプログラミングを学ばせていく学校が多いです。
例えば、5年生の算数ではプログラミングを通して図形の外角の角度を求める問題があったり、理科ではセンサーを使って発光ダイオードの点灯を制御するプログラミング体験を行ったりします。
プログラム言語ではなく「プログラミング的思考」を学ぶ
プログラミングとは簡単に言うと「コンピュータへの指示」です。
コンピュータの指示に使う言葉がプログラム言語と呼ばれ、JavaScriptやPythonなどが有名です。
親御さんの中には、お子さんがプログラム言語を使ってコンピュータに指示を送る学習を想像する方もいるかもしれません。
しかし、プログラミング教育の目的は優秀なプログラマーを育てることではないため、難解なプログラム言語は使用しません。
小学校のプログラミング教育では、難しい概念を視覚的に理解できるようにビジュアルプログラミング言語を使います。
ビジュアルプログラミング言語とは、色がついたブロックやイラストなどを使ってプログラミングをする方法です。
ブロックをドラッグ&ドロップするだけでプログラムを組み立てられるScratch(スクラッチ)が有名です。
視覚的・直感的にプログラムを組めるので、小学生でも楽しみながらプログラミングができます。
難しいプログラミング言語は学習しませんので、ご安心ください。
小学校のプログラミング教育の実践例
ここでは、小学校で行われるプログラミング教育の実践例を紹介します。
- ロボットやデバイスを使ったプログラミング
- 簡単なゲーム作成
- 簡単なアニメーション、ストーリーの作成
ある小学校ではScratch(スクラッチ)でスーパーマリオブラザーズのようなスクロールゲームを作成します。
「キャラクターを右方向に動かす」という動作の中には複数のプログラムが組み込まれています。
「→を押すと1歩動く」というプログラムだけだと、キャラクターの右足が固定された不自然な動きになります。
子どもたちは「あれ? 足が動いていない」と不思議な表情。
そこで、キャラクターが実際に動いているように見せるために、キャラクターの見た目を変えるプログラムを組みます。
「歩く」という動作は連続性がありますので、これらのプログラムを「繰り返す」というプログラムも必要です。
このように、正しいブロックを順序立ててプログラムしないと、意図している動きになりません。
その他にも、キャラクターや乗り物を使って画面上の敵や障害物を撃ち倒すシューティングゲームを作成しているお子さんもおり、複数の敵が繰り返し現れる高度なプログラムを組んだりもします。
また応用的な学習として、マイクロビットを使ってプログラミングに取り組んでいる学校もあります。
マイクロビットとは、教育用途に特化した小型のプログラミング可能なコンピュータボードのことです。
ボタンを押して1分経過したらLED点滅と音で知らせるプログラムを作ったり、人の動きを検知したら音で知らせるプログラムを作ったりし、自分たちの身の回りのものがプログラミングによって作動していることを体験できます。
このように、小学校では子どもたちの身近な世界を舞台にしてプログラミング教育が行われており、楽しみながら学習します。
プログラミング教育の目的
この章では、プログラミング教育が小学校に導入された目的を解説します。
論理的思考力と問題解決能力の育成
プログラミング教育の目的は、論理的思考力と問題解決力の育成です。
論理的思考力(ロジカルシンキング)とは、物事の筋道立てて考える能力のことです。
情報を整理し、仮説を検証をして合理的な結論を導きます。
問題解決能力とは、問題に直面した際に、効率的にその問題を解決する能力です。
この力は、単に問題の答えを見つけることにとどまらず、問題の本質を理解し、適切な手段を講じて解決策を実行し、必要に応じて柔軟に対応する力も指します。
子どもたちはプログラミングを通して、
「●●をするには、△△が必要だ」
「■■の条件ならば、〇〇が解決するはず」
と仮説を立てながら思考して、問題解決を図っていきます。
論理的思考力と問題解決力は、先行きが不透明なこれからの時代に必要な力です。
多様な情報や価値観があふれる世界では、お子さん自身の頭で思考し、適切な判断をしていく論理的思考力と問題解決力が必須なのです。
情報社会への対応
私たちの生活はプログラミングされたもので成り立っています。
洗濯機や電子レンジ、お掃除ロボットなどの家電製品をはじめ、現代の自動車はエンジン、ブレーキ、加速、衝突回避システムなどがプログラミングで制御されています。
そして、スマートフォン。
Instagram、Facebook、LINE、YouTube など、さまざまなアプリはプログラムによって動作します。
「どうしてこのような動きをするのか?」を知ることは、テクノロジーを安全かつ主体的に活用していくために重要な知識です。
子どもたちが将来社会で活躍するためには、プログラミングやITに関する基本的な知識やスキルを早期に身につけることが必要です。
大学入試共通テストでは「情報Ⅰ」が必修化
プログラミング教育は小学校で終わらず、中学校、高校の「データサイエンス」や「情報」の学習につながっていきます。
データサイエンスは、大量のデータを収集・分析・解釈し、有益な情報を抽出して意思決定や予測を支援する学問です。
プログラミングはデータサイエンスの一部にあたります。
高校では2022年から「情報Ⅰ」が必修科目となりました。
情報Ⅰでは、コンピュータやインターネットを活用した情報の取扱いや基本的な技術、データを安全に扱う方法、さらに情報社会におけるルールや倫理について幅広く学びます。
また、2025年度から国公立大学の受験には「情報Ⅰ」が必修となっています。
このように社会の変化に対応する形でプログラミング教育が公教育へも導入されているのです。
お子さんがこれから生きていく社会では親御さんの幼少期とは異なる世界があります。
論理的思考力や問題解決力、情報スキル・情報リテラシーは情報社会を生き抜くために必須の能力なのです。
算数とプログラミングの共通点教育の関係
プログラミング的思考は算数と密接に関わっています。
パターン認識
プログラミングと算数の両者には、パターン認識力が必要です。
プログラミングでは、同じ処理を繰り返す「繰り返し(ループ)」や、問題のパターンを見つけ出す「パターン認識」が重要です。
似た概念は、算数でも見られます。
例えば掛け算の計算は、パターンや規則を見つけて解答を導きます。
・掛け算は足し算の繰り返し 2×3=2 + 2 + 2
・前の掛け算の答えに足す 2×3=2×2+2
正しい手順を踏む
算数で計算順序を考えるのとプログラミングのフロー(順序)考えるのはとても似ています。
両者は、一つでも手順を間違えると正しい答え・動作にたどり着きません。
算数では、問題を分解して、ステップごとに解決策を見つける「問題解決力」が求められますが、プログラミングも同様に、複雑な問題を小さな部分に分け、順を追って解決していく能力を必要とします。
面倒くさがって手順を飛ばすことは許されません。
実は、論理的思考力と問題解決力は算数で培うことができ、算数の基礎を身に付け、思考力や判断力を高めることが、プログラミング教育の効果をさらに大きくしていきます。
トライ&エラー
算数もプログラミングもトライ&エラーを繰り返すことが重要です。
まず問題に接したら、解法やプログラムを考えてトライします。
失敗(エラー)したら違う解法やプログラムを考え直し、再度トライします。
トライ&エラーを繰り返すことで、よりよい問題解決方法がわかってきます。
失敗しても再トライをするメンタリティは、自分自身で考え、生き方を見つけていくこれからの時代に大切なメンタリティです。
親御さんは
「考えた方法でまずはやってみよう!」
「どこを直せばよいだろう?」
「大丈夫!もう一回できるよう!」
といった言葉掛けで、ぜひお子さんのトライを応援してあげてくださいね。
算数の基本を大切にしたプログラミング教育を
「算数なんて何の役に立つの?」という疑問は子どもが自然にもつものでしょう。
しかしプログラミングに取り組むことで、算数が現実世界でどのように活かされているのかを実感できます。
逆にプログラミングを通じて算数の面白さや興味に気付くこともあります。
また、文系理系問わずデータを扱うことが多い現代では、膨大なデータを論理的に簡潔に扱う力が現代の仕事力にも直結します。
新しい教育施策が導入されると不安になるかもしれません。
しかしいつの時代も、ベースとなるのは基礎学力。
基礎を一つ一つ積み上げながら、プログラミング学習を通して、学校での学びが実際の社会とどのように結びついているのか実感していただければと思います。
論理的思考力を伸ばすなら「RISU算数」
算数の家庭学習には、算数専用タブレット教材の「RISU算数(幼児には「RISUきっず」)」がぴったりです。
算数の本質的な学びを大切にする、RISU算数の特長3つをご紹介します。
特長1:「無学年制」で一人ひとりにピッタリのカリキュラム
RISU算数では無学年制カリキュラムを採用。
学年を超えてどんどん先取り学習を進めることも、
つまずいた分野で学年を遡って復習することもタブレット一台で完結します。
またRISU算数ではデータに基づき、お子様の学力に合わせた出題がなされるため、
難しすぎて勉強が嫌いになってしまうということや、簡単すぎて退屈するということもありません。
特長2:文章問題・図形問題で思考力が身に付く
RISU算数には、図形問題や文章問題など幅広いレベルの問題が収録されており、
中学入試や算数オリンピック問題など、思考力を試す問題も多く含まれています。
RISU算数では、基礎的な計算問題からハイレベルな文章問題まで、算数の学力をバランスよく伸ばすことができます。
特長3:分かりやすい「解説動画」
RISU算数では、東京大学をはじめとするトップ大学生チューターによる解説動画が大人気。
分からない問題も、解説動画を見てお子さん一人で解決することができます。
定期的にチューターからの応援メッセージ動画を楽しみにされているお子さんもたくさんいらっしゃいます。
憧れの大学に通うお兄さんお姉さんからのメッセージは、学習へのモチベーションアップに最適です。
RISU算数には他にも、自動採点機能やメールで学習進捗をお知らせする機能など、保護者の方にも嬉しい機能が満載。共働きや小さいお子さんがいるなど、毎日忙しい親御さんも安心してお子さんの学習を見守ることができます。
RISU公式ブログでは、中学受験合格者・算数検定合格者・模試の成績優秀者など、RISU算数を活用した学習体験談を多数ご紹介しています。
お子さんの勉強の参考になる記事がきっと見つかるかと思いますので、ぜひ一度覗いてみてくださいね。