RISU 学び相談室

Q

小学生の子どもの自主性を伸ばす方法を教えてください

Q RISU算数スタッフの回答
小学生になっても、まだ自主性が身に付かない子は多いものです。

「このままでは、うちの子はいつまで経っても親離れができないのではないか」と不安に思われているおうちの方も多いでしょう。

​​自主性を伸ばすためには、子どもの興味や意見をしっかり受け止めるとともに、できるようになったことを褒め、子どもの自尊心を育むことが重要です。
なぜなら、自尊心が育つと、子どもは「親の助けを借りなくても上手くやっていける」という自信をもつことができるからです。

そこで、本記事では小学生の自主性を伸ばす5つのポイントをお伝えいたします。

自主性とは?

自主性とは、課題に対して自ら積極的に取り組む姿勢のことであり、やるべきことを自分でやれる力のことを指します。

自主性に関する研究では、自主性を構成する下位尺度として以下の10要素が挙げられています。

・独立性:自習の時でも真面目に勉強する
・主体性:やって良いことと悪いことを自分で判断する
・自立性:自分で発言しようと思ったら自ら進んで発表する
・自発性:遊びやスポーツに自ら友達を誘う
・自己主張:自分が正しいと思えば、友達とでも口論する
・判断力:自分がしようとしていることが迷惑にならないか考えてから行動する
・自己統制:喋ってはいけない状況の時に喋らないようにする
・責任性:皆で決めたことは、どんなことがあっても守る
・役割認知:皆の役に立つことであれば、進んで仕事を引き受ける
・独創性:既存のものや他人の真似ではない、新しい物事を考え出す

自主性と主体性はしばしば混同されますが、実は少し意味が異なっています。

自主性とは、指示がなくてもやるべきことを率先して行う態度のことです。一方、主体性とは、自ら設定した目的に向かって行動を起こし、その結果にも責任を持つ態度のことです。

自ら進んで行動を起こすだけではなく、その行動がもたらす結果にも責任を持つという点において、主体性は自主性よりも一歩進んだ態度だと言うことができます。

小学生のうちは、自主性を伸ばすことができれば十分でしょう。

小学生の自主性を伸ばすための5つのポイント

前述の通り、自主性とは「やるべきことを見つけ、率先して動く態度」のこと。
大人になって社会に出る前には、必ず身につけておきたい資質ですから、小学生のうちから少しずつ伸ばしていく必要があります。

そこで、小学生の自主性を伸ばすためのポイントを5つご紹介します。

ポイント①子どもの興味を肯定する

子どもの興味を肯定することは、自主性を伸ばす上できわめて大切なことです。

我が子を心配する気持ちから、子どもの「やってみたい」を否定していませんか?
それでは、子どもの自主性を知らず知らずのうちに潰してしまうことになりかねません。

小学生になると、おうちの方から与えられたもの以外にも、身の回りのさまざまな物事に自分から興味を持ち始めます。自主性を伸ばすためには、さまざまなことを一通り経験させる必要があります。

例えば、子どもが「やりたい!」と言った習い事には、できる限り挑戦させてあげましょう。
何回か通ってみたものの肌に合わず、結局は習い事をやめてしまう、なんてことも時にはあるかもしれません。しかし、その経験は子どもを成長させる糧になっていますから、決して無駄ではありません。

小学生のうちは、子どもが本当に好きなことは何か、おうちの方も子ども本人もまだ手探りの状態です。さまざまな経験をさせて、子どもが本気で熱中できる物事を探しましょう。

また、子どもが興味を持ったものに対しては、おうちの方も興味を持ち、積極的に関わるよう心がけましょう。

ポイント②子どもの意見をしっかりと聞く

小学生の子どもは、何も考えていないように見えて、自分の中ではしっかりとした意見を持っているものです。
「まだ小学生だから…」と軽くあしらったりせず、子どもの意見をしっかりと聞くよう心がけましょう。

日常の出来事や世間のニュースについて、子どもと意見を交換してみましょう。
自分の考えを言語化させることによって、自主的な思考を促すことができます。

おうちの方は子どもの考えの傾向を把握することができますし、子どもは話し合うことで物事への理解を深め、さらに興味を持ってくれるでしょう。

また、子どもの意見を積極的に聞いてあげることによって、悩み事があった時にも子どもから相談しやすい雰囲気を作ることができます。

普段から、活発にコミュニケーションを取れる雰囲気を作っておくことが大切です。

ポイント③段階的に子どもの手助けをやめる

子どもが未就学の頃は、食事をするにも身支度をするにも、おうちの方の手助けが欠かせない場面が多かったことでしょう。

しかし、いつまでもおうちの方が手伝っていると、子どもはついつい甘えてしまい、親離れができなくなってしまいます。

まずは身の回りの些細なことからでも構いません。さまざまなことに自力でチャレンジさせていきましょう。
そして、自力でできることが増えた時には、すかさず褒めてあげましょう。そうすることで、子どもの自信と自尊心を育むことができます。
あるいは、ご褒美を用意することも子どものモチベーションアップには効果的です。

最終的には、おうちの方が一切手助けをしなくても、自力で身の回りの大抵のことをこなせるようになると良いですね。

ここで大切なのが、慎重に段階をふんで手助けの回数を減らしていくこと。
突然スッパリと手助けをやめてしまうと、子どもは「突き放されたのではないか」と不安に感じてしまいます。

焦らず、ゆっくりと時間をかけて、子どもの自立を促していきましょう。

ポイント④小学3年生までじっくり待ってみる

子どもは、一般に10歳頃から自分を客観視する能力が発達し、目標を立てたり段取りをつけたりできるようになると言われています。自分の将来についての関心が湧いてくるのも、この時期です。

子どもの自主性を育むことに焦ってしまうおうちの方も多いですが、小学3年生までは、あまり心配する必要はないかもしれません。

学校の準備や身支度なども、1、2年生のうちはおうちの方が手伝ってあげて構いません。
学年が上がったら、徐々に声かけや確認程度にとどめて、子ども自身で行わせるようにしていくと良いでしょう。

そして、忘れてはならないのが、子どもの性格や成長には、個人差があって当たり前だということ。

「同学年のお友達は自立しているのに、自分の子どもは自立していない」など、周りと比べる必要は全くありません。
子ども自身のペースを信じて、見守ってあげましょう。

ポイント⑤勉強の習慣をつける

勉強を毎日の習慣にすることができれば、おうちの方が「勉強をしなさい!」と叱咤せずとも、自然と勉強をしてくれるようになります。

勉強をすることが当たり前になると、次第に自分であれこれ工夫しながら勉強を進めるようになり、自主性が育まれていきます。

とはいえ、遊びたい盛りの小学生に勉強の習慣をつけることは難しいもの。

無理やり勉強をさせて、勉強自体が嫌いになってしまっては勿体ありませんから、まずは1日10分程度から始め、机に向かうことに慣れさせていきましょう。

「朝、学校へ行く前にワークを○問解く」「夕飯を食べたら必ず宿題をやる」など、勉強を日常生活の中に組み込むことがオススメです。

自主性がない子供の特徴

自主性を伸ばすためのポイントについて解説してきましたが、「そもそも、自主性がない子どもとはどのような子どもを指すのか分からない……」という方もいらっしゃるかもしれませんね。

ここからは、自主性がない子どもの特徴についてご説明します。

「嫌だ」と言わない

何か不本意なことが起きても「嫌だ」と言わない子どもは、「いい子」という印象を持たれやすい傾向にあります。
しかし、反抗や嫌悪の意思表示もまた、対人関係における重要な行動の一つです。

「自主性」には「自分の気持ちを積極的に相手に伝えようとする態度」も含まれる、と言うことができるでしょう。

「嫌だ」と言えない傾向は、他人からの目を過剰に気にしている優等生タイプの子どもによく見られます。

子どもの意見をないがしろにしていたり、おうちの方自身の価値観を押し付けてしまっていませんか?

「嫌だ」と言わない子どもは、おうちの方の顔色を伺っている、あるいは「親の言うことが絶対だ」と自分の感情を押し殺している可能性があり、何かのきっかけで感情が爆発する可能性もあります。

たとえ大人から見れば間違った意見であっても、一度は子どもの意見に耳を傾けてあげることが大切です。

返答が他人任せ

自主性に欠ける子どもは、何か意見を求められた際に、他人任せの返答をする傾向にあります。

例えば、子どもに「夕飯は何が食べたい?」と聞いて、「なんでもいい」と返されたことはありませんか?
この返答には、「親が食べたいものを食べる」という意味が含まれており、他人任せな態度の現れとみることができるでしょう。

しかし、おうちの方が高圧的なしつけをしているうちに、自分の意見を言うことが怖くなり、「なんでもいい」と無難に答えるようになった可能性も考えられます。

過度のしつけは、子どもの自主性の芽を摘んでしまいます。
子どもが自分の意見を表明することを億劫に感じることのないよう、注意して子どもと接しましょう。

感情表現が乏しい

喜んだり、怒ったり、泣いたりといった感情表現は、他者とのコミュニケーションを円滑に進めるための大切なツールです。
また、感情はやる気や好奇心の源であり、自主性の発達とも深く関係しています。

感情表現が乏しい子どもは、周りの目を気にして感情を抑えていることが多いものです。

その背景には、子どもが泣いたら「うるさい!」と叱りつけたり、子どもが怒っていても無視したりといったおうちの方の態度が影響していることが多いように思われます。

子どもの感情表現に対して、頭ごなしに叱って抑えつけたり、逆に全く無関心な態度をとることは避けましょう。

おうちの方が子どもの感情を抑えることによって、知らず知らずのうちに、子どもの自主性の発達をも妨げてしまっているかもしれません。

指示を待っている

何をするにも周りの大人からの指示を待っている子どもは、自主性に欠けていると言えるでしょう

もし、そのまま大人になってしまったら…?上司からの指示がないと自発的に行動できない、いわゆる「指示待ち人間」になってしまいます。

判断力や行動力に欠ける「指示待ち人間」は、社会に出てから苦労することになります。

ファミリーレストランなどで、ロボットが受付やウェイターとして活躍している場面を見かけたことがある人は少なくないでしょう。
近年、人工知能がめざましい発達を見せています。自主性に欠ける「指示待ち人間」は、将来的にはAIに仕事を奪われてしまうかもしれません。

これからの時代を生き抜くには、自主的に学び、考え、行動する姿勢が何より重要なのです。


失敗を人のせいにする

自主性がない子どもは、自分で判断をせず、他人の判断・指示のもとで動いています。
そのため、失敗をした際に人のせいにする傾向があります。

自分のミスを他人のせいにしているようでは、社会に出て信頼を得ることは難しいでしょう。
自分の判断や行動、それらがもたらす結果に責任を持つことを、小学生のうちから少しずつ教えていきましょう。

さまざまな物事に自分の意志でチャレンジし、成功だけではなく失敗の経験も積むことで、自主性や責任感を養うことができるでしょう。

とにかく人に合わせる

話し合いで意見が対立した際に、人に合わせてあれこれ立場を変える子どもは、自主性に欠けていると言えるでしょう。

社会に出たら、会議などで自分の意見を求められる場面は頻繁にあります。

そんな時、人に合わせて意見が二転三転していたのでは、新しいものを生み出すことはもちろん、周囲からの信頼を得ることもできないでしょう。
そして、常によいものを作ろうとする意思のない人間は、会社に必要ないと見なされてしまうかもしれません。

社会に出てから困らないためにも、自分の意見を持つことはきわめて重要なのです。

自主性を伸ばす上で、おうちの方が注意したいこと

最後に、子どもの自主性を伸ばす上で、おうちの方がしてはいけない育て方についてご紹介します。

過度に放任しない

「あえて放任することで、子どもの自主性を伸ばす」という教育方針を取るおうちの方は少なくありません。

もちろん、子どもの自立を促す上で、ある程度の放任は効果的です。
しかし、放任の意味を履き違えてしまうと、子どものためを思った教育方針が逆に子どもにとってマイナスに働くこともあるので、注意しましょう。

例えば、子どもが人に迷惑をかけても注意せず、子どものやりたい放題にさせるのは、誤った放任のあり方だと言えるでしょう。

子どもが間違った行動をした際には、きちんと注意をして誤りを正していくことが必要です。

自我が発達しきっていない小学生の子どもにとって、自分を客観視して自律した行動をとることは難しいもの。おうちの方がしっかりと正し、導いてあげなければいけません。

適度な放任は子どもの自主性を育みますが、過度の放任は、他人に迷惑をかけるのみならず、子どもの成長にも悪影響を与える、ということを忘れないでください。

過干渉しない

子どもが何かに取り組んでいる時に、横からうるさく口出しをしたり、早々に答えを与えてしまう教育方針は、自主性の成長を阻害します。

「失敗しているのを見るのがもどかしくて、つい手伝ってしまう」というおうちの方は多いですが、子どもの自主性を育てたいならば、グッとこらえましょう。

子どもは失敗を通じて成長していくもの。

おうちの方が手取り足取り指示をして失敗を防ぐのではなく、子どもの試行錯誤をある程度見守ることが必要です。
周りの大人のエゴで、子どものやる気や自主的な行動を否定することは望ましくありません。

過干渉な育て方を続けていると、いつでも大人の顔色を伺い、自分の意見を言えない子どもに育ってしまいます。子どもが「やりたい」と言ったことは、自由に挑戦させてあげましょう。

一つのことにこだわりすぎない

「親がサッカー好きだから、子どもにサッカーを習わせる」「親が理系にコンプレックスを持っているから、子どもは絶対理系にしたい」というように、おうちの方が子どもに理想を押し付けてしまうケースは少なくありません。

しかし、子ども自身は他のことに興味を持っている可能性もありますし、おうちの方の意見だけで子どもの将来の幅を狭めることは、望ましくありません。
一つのことにこだわりすぎず、幅広いことにチャレンジさせてあげましょう。

おうちの方の理想を押し付けて、子どもが乗り気ではないことを無理矢理させると、子どもは「やらされている」と感じて余計嫌いになってしまいかねません。

また、小学生は好奇心の塊ですから、常に興味関心が移り変わっていくのが当たり前です。
その時に興味を持ったものを、その都度経験させてあげられると良いですね。

子どもは、どんな経験からも何かしらの学びを吸収して成長しているものです。
たとえすぐに飽きてしまったとしても、「良い経験になった」とポジティブに捉えましょう。

まとめ

本記事では、小学生の自主性を伸ばすためのポイントや、自主性がない子どもの特徴、自主性を伸ばす子育てのコツについてご紹介しました。

小学生のうちから自主性を育んでいくことは大切ですが、成長には個人差があることを忘れてはいけません。
周りの子と比べて焦ったりせず、子ども自身のペースを尊重して見守っていきましょう。

また、自主性を伸ばすためには、子どもの自尊心を育てることがなにより大切です。

子どもが自力でできることが増えた時には、必ず褒めてあげましょう。

そうすることで、子どもは「親に頼らなくても自分でやれるんだ!」と自信がつき、さらに色々なことに自力でチャレンジしていってくれるはずです。

 

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